【実況者】本当の君。 (ページ2)

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「真美、もうそれくらいにしときな？」
「やらぁ…まだのむぅ…！」
「じゃあ、部屋で飲も？ね、もうお店も終わりだし。」

1週間滞在する予定のホテルは、真美が奮発したのかとても良い所だった。
お洒落なバーなんて来たことなかったけれど、ホテルの施設ということで少し綺麗めな格好で真美と2人で来てみれば普段飲めないカクテルにテンションが上がった。
そして、そこそこ飲める私と好きだけど強く無い真美が同じペースで飲めば当然こうなる。

カウンターのテーブルにぐでっと倒れ伏しながらも細いグラスの脚を手放さない真美。
その顔は真っ赤で、瞳の焦点もあやふやで呂律も回っていない。
カウンター越しのバーテンダーさんも流石に苦笑を浮かべている。

「ね、真美、寝ちゃ駄目だよ。」
「ねてなぁい…。」
「うん、だから戻ろう。ほら立って。」

少し無理やり真美の腕を引っ張って立たせる。
彼女は小柄な為、支えて歩くのは無理というほどじゃ無い。
私は少し焦りながらバーを出てエレベーターに乗り込んだ。
それからホッと息を吐く。

先ほど、バーでこちらをチラチラ見ながら酒を飲んでいる男の人たちがいた。
その視線はとてもじゃないが良いものとは言えなかったので、すぐに立ち去りたかったのだ。
真美は小動物のような可愛さがあり、中学も高校も異性からモテていた。
そんな彼女なら男のあしらい方もわかるだろうが、私にそんな技術は無いので逃げた。

しかも、今自暴自棄とも前後不覚とも言えるような状態の真美が男たちの誘いに乗ってしまったら目も当てられない。
普段ならあり得ないだろうが、真美は今傷心中で泥酔中だ。
酒の力は怖い。何かあったら困るのだ。

「ねぇ〜え、A〜お酒なぁーい。」
「本当に飲むの？飲むなら買ってくるけど。」
「真美もいくぅ！」
「連れていきませーん。酔っ払いは部屋で大人しくしてて。」
「酔ってないもーん！」

そんな酔っ払いの常套句を吐く彼女を置いて、カードキーと財布とスマホをもう一度確認してから部屋を出た。
ホテル内にコンビニはあるが、行列ができているのが見えてしまい少し悩む。

…ホテルの近くの所に行くか。

スマホで検索すれば徒歩圏内にいくつかコンビニがあり、大通りの近くであるコンビニを選んでマップ案内に従うように歩き出した。