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やがてそのスピードがゆっくりになって
音も立てずにホームに滑り込んだ。
東京駅は人の波で、押しつぶされそうだ。
田舎者丸出しな感じでキョロキョロと看板を見上げると
翔の言っていた路線の方向が分かった。
.
「A、A」
人ごみの中からあの人の声がした気がして
立ち止まってぐるりとあたりを見渡す。
.
『翔？』
けれど、あまりの人の多さに、彼を見つけられない。
.
「ここだよ」
.
突然後ろからふわりと降ってきた彼の匂い。
.
「翔……」
人前だというのに、思わず抱きついてしまった。
.
______確かに、彼がここにいる。
.
.
『迎えに来てくれたの？』
「あぁ、Aは迷子になりそうだから」
『失礼ね』
「嘘。待ちきれなかった」
.
私の頭をポンポン叩く大きな手。
.
私も会いたかった。
一刻も早く。
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作者名：sumika
| 作成日時：2018年8月15日 0時
