Still Love You.【SS】PART2 (ページ27)

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挙動不審ページ27

再び俯きそうになるのを寸前で我慢する。

だけど、少しだけ俯いた先に、新たな革靴がすぐ側まで来て止まった。

この靴は、翔だ。

私、この靴、覚えてる。

翔の就職が決まった時、呼び出されてお金を急に押し付けられて、
「カッコイイ革靴を買ってこい」そう言われたんだ。

カッコイイ革靴なんて言われたって、人それぞれ価値観が違うし、本当に悩んだのを覚えてる。

メンズブランドが沢山入っているファッションビルを一日中歩き回ってやっと見つけて買ったものだ。

何時間も悩んで、悩んで苦労して買ってきた私に、
翔はお釣りと靴を受け取るとそれを見て「よく分かってんじゃん」そう言って笑ったんだよね。

私はその笑顔だけで歩き回った疲れなんて吹っ飛んだんだよ。

なんだか、あの頃がひどく懐かしい。

『あー、翔！久しぶり！相変わらずイケてるね』

隣の沙奈ちゃんが茶化すように言う。

『えー、沙奈！俺は？』

『え、修くん？修くんは相変わらず愉快だね』

『愉快は全然嬉しくねー！なんで翔ばっかり』

沙奈ちゃんと修くんが盛り上がり始めてしまった。

どのタイミングで顔を上げたらいいんだろう。

今、顔上げても変じゃない？

不自然じゃない？笑って挨拶したら、幼なじみに見える？

全然、分からないよ。