変わらない ページ25
美央姉と写真を撮って、入れ替わりで来るたくさんの人の邪魔にならないように、沙奈ちゃんと端っこの方で話していた。
『あ、そういえばA。彼氏できたんだって？』
「え？」
『お母さんが言ってた』
「えー、出来てないよ！何でそんなことになってるの」
『知らないよー！お母さんの事だから皆に言いふらしてそうだけどね』
「そんなの困る！」
『私はてっきりAは翔と付き合ってんのかと思ってた』
「な、なんで」
『だってあんたら仲良すぎでしょ』
「それは、ただの幼なじみだから」
『幼なじみなら私らもでしょーよ。私ら疎遠だもん』
「疎遠って…」
『そんなもんでしょ。もう大人なんだし』
そうなのかな。
やっぱり私と翔の距離感って変なものがあったのかな。
幼なじみっていうより、雇い主と家来みたいな？
そんなの、幼なじみよりイヤだよ。
そんな事を頭の中でぐるぐる考えていたら、また新婦控え室のドアが開く。
ドッと団体が入って来たと思ったら、それは櫻井家の皆だった。
一番最後に中に入ってきた、翔。
久しぶりに見たのに、全然変わってなくて。
だけど今日はいつものジャージなんかじゃなくて、上質なスーツを着ている。
スタイルがいいから似合ってる。
そんな事、口が裂けても言えないのだけど。
気がつくと、無意識に翔を観察してそんな事を思っていた自分に驚く。
咄嗟に視線を逸らして、床を見た。
翔、どんな顔してるんだろう。
やっぱり美央姉を見て、綺麗だなって思うよね。
俺が幸せにしたかったな。とか考えたりするのかな。
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作者名：sumika
| 作成日時：2018年1月20日 16時
