97 主将だって、ただの高校生 ページ48
「う〜ん…和久南は日向に対してとりあえず1人コミットでブロック跳ばすけど、深追いはしないってスタンスかな？」
「う、うん……??? つまり、日向くんを警戒しすぎないということで……???」
それじゃあ、囮が発揮されない……。
いつもほど絶好調、というわけではないが19対17でリードをしていた。
次で、20点台、だったのだが
「大地……?」
大地が、接触事故を、起こした
「Aせ、せんぱい!!!!!」
仁花ちゃんのその声で私は正気を取り戻し、返事もすることを忘れて大地の元へ向かった。
「(大地、大地、だいち)」
きよをバレーに誘ってくれた恩人。
いつもバレー部を支えてくれたお父さん的存在。
怖いけど、誰よりもみんなのことを、考えている、私達のキャプテン。
「大地っ!!!!」
思わず私は、大地の元へ飛び込んでいた。
「あっっぶねぇだろが!!!!」
「いだっ!?」
烏養さんに軽く叩かれ、私ははっとして離れた。
「ごっ、ごめ、」
「いや、俺は大丈夫だ。むしろAがそんなに動揺してるとこ見たこと無かったから、逆に俺が落ち着いたよ」
そう言って、大地は笑っていた。
「けど」
「!?」
ぎろり、といい笑顔で大地が私を睨む。
「Aの方がでかいんだから接触事故起こしたばっかのやつに飛び込んでくるのはやめような?」
「……ﾊｲ」
なんとか大地は無事だったようで、コートの側まで戻った。
「20点か……」
「……」
「大地、」
「……見守る、か」
その顔は、烏野主将澤村大地の顔だった。
「大地は?」
大地が驚いたように私を見る。
「大地自身は、出たいの?」
大地は、歯を食い縛ったあと、痛んだようで顔を歪めた。
そして、ぽつりと呟きはじめた。
「最後、なんだ」
この試合、勝てば、まだ試合はある。
「アイツらなら、勝てるって、思うけどさ」
「それでも、一戦でも多く、コートに居たい」
「でも、今俺が行ったら、きっと、空気とか、リズム壊す気がする」
「だから、"俺"もちゃんと、今は見守ろう、応援しようって、思ってるよ」
98 ちなみにオフトレとして成立はしなかった→←96 みんな(大きさが違って)みんな良い
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作者名：紫 | 作成日時：2020年2月5日 6時
