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93 人間として、生きろ ページ44

「なんだなんだ?ひょろっちいな!ちゃんと飯食ってんのか?!」
「そうだぞ蛍ちゃんと食えー!」
「そうだそうだおにぎり食えー」
「ちょっとそこ二人」

蛍に連れてこられたのは、明光くんの居る社会人チームらしかった。

「まぁまぁ赤井沢さん、見ててくださいよ。今にドシャット決めてみせますから、うちの弟」
「こんな細っこい高校生に負ける俺じゃねぇよ」

蛍の舌打ちが聞こえた気がした。



**



関東での練習が始まり、相変わらずきよとはあまり話さないけど、その分他のメンバーと話して交流できるようになった。

「(……まあ、さびしいんだけど、さ)」

「ツッキー、お前、絶対ウシワカに勝ってこいよ」

木兎くんは蛍を倒しているので、蛍が若利くんを倒せば木兎くんは若利くんより上、という考えだそうだ。

「いやいや、自分で倒せよ」
「そうしたら全国で烏野と戦えないじゃんかー」
「そうじゃなくて」

木兎くんが不思議そうに私を見る。

「高校卒業しても、バレーやるんでしょ。そこで倒してよ、若利くんのこと」

ちょっとだけ、私達と一緒に練習していた人に負ける若利くんが見てみたいのだ。

「ああ!! ぜってー倒す!!!」

いい笑顔で、木兎くんはそう答えた。




**




「仙台体育館再び!絶対リベンジ!!」
「げ」
「あ!! あんときのマネージャーちゃんじゃん!! やっほー!! 今日もあのかわいいピアスしてるー?」

あのときのカースト上位くんの居るチームとすれ違った。
そして近寄ってきたその人に、私は、言った。

「私はすきで自分の体を傷付けてんじゃない!!!!!」

くるりときよの方を振り替える。

「きよ、ごめんなさい!!!!」
「え」
「私、母さんのことはもう忘れる。いや、完璧に忘れるとか難しいけど、気にしないようにする。ピアスも、持ってたの、全部捨てた」
「す、捨てたって……お母さんの、あんなに、大事に、」
「いいの!! 私が今大事なのは、きよと、きよが居るこのチームだから」

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作者名: | 作成日時:2020年2月5日 6時

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