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91 開けたいわけでも着けたいわけでもない ページ42

「お、遅かったなお前ら」
「日向くんお弁当箱事件」
「おれよりAさんの方が事件だったじゃないですか!!!」

日向くんと二人、みんなの元へ戻った。

「事件? なにかあったんすか?」
「そうなんです田中先輩!! Aさんがベスト4の人に絡まれてたんです!!! Aさん黙ってれば綺麗だから……」
「黙ってればは余計じゃない? 私は常に綺麗じゃんか」
「絡まれてたぁ!?!?」
「あ、スルーですかそうですか」
「あっそういえばAさんってピアスしてるんですね」
「えっ」

日向くんの爆弾発言に、きよが動揺する。

「いや、きよ、あの」
「もう、ピアスは開けない、着けないって言ってたでしょ!?」

久々にきよのこんな大きな声聞いたなあ、なんて、呑気に思ってしまった。

「ちょ、清水、落ち着けって」
「これは、家族の問題なの」
「そんな問題って……ピアスくらい、なあ?」
「そ、そうそう!」

スガくんの言葉にきよが返し、大地と旭が私の肩を持ってくれた。
けど、自分のせいだけれど、私は、自分の味方をされることに罪悪感を感じた。

「……ごめん、姉ちゃん」



**



家に帰って、きよからピアスの件を話された私は、母さんに怒られ、父さんに心配された。
ここでも私は、心配されたことの方が罪悪感を感じていた。

私の視線の先、机の上に無造作に置かれているのは、幾つもの薬たち。

「……メンヘラでごめんへら〜……」

どこかで聞いた音源の台詞を呟きながら、私の目は虚ろだった。

92 息ができないままでいたかった→←90 ところで誰のお弁当



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作者名: | 作成日時:2020年2月5日 6時

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