【HQ】清水潔子先輩の双子の妹は幽霊を諦めた。 (ページ29)

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78　ぶつかってこその青春ページ29

蛍がクロに煽られ、練習に参加した。
木兎くんのブロックをしていたのだが。

「う～ん、やっぱメガネ君さ、読みはいいんだけど……弱々しいんだよなブロックが」
「ふっ……確かに弱々しいわ。あっごめんてそんな真顔でこっち来ないでこわいから」

蛍は私に向けて舌打ちした後、木兎くんの方を向いた。

「僕、まだ若くて発展途上なんですよ。筋力も身長もまだまだこれからなんで」

そう言う蛍だったが、

「悠長な事言ってると、あのチビちゃんにいいとこ全部持ってかれんじゃねぇの？｣
「ちょっクロ!!!」

クロが地雷を踏み抜いた。

「それは仕方ないんじゃないですかね～。日向と僕じゃ元の才能が違いますからね」

蛍はそう言って、体育館に来た他のメンバーと入れ違いに立ち去ってしまった。

「……ちょっと、クロ」
「なんだよ、思わないだろ」
「うざいけど、流石。……タイミング完璧」
「……は?」

やっぱりこのひと無自覚ですか。

「うちじゃ、クロみたいに煽りうまいやつ居ないからね」
「なんだよ、それ」

ほんと合宿があって助かった。

「……ぶつかることを避けてたら、ずっと敗者のままなんだ」

私はこのとき、クロが蛍を煽ったように無自覚に、ネックウォーマーを握りしめていた。

「……さむい」

冬はまだ来ない。
外で雪なんか、降っていなかった。