73 誤解を招かれ誤解を招く ページ24
「甥っ子くんはよかったの」
「元々あのあとすぐ家まで送るだけだったし。言ったでしょ? 暇なの」
「さいですか」
にしても、あんなに女子のギャラリーがいるほどのこの大王様と二人きりとか
「(ファンに暗殺される気しかない)」
なので、私は幽霊、私は幽霊、私は幻の六人目、と心で唱えた。
「ここ!」
「え、お洒落だね……」
「女の子はこういうとこ好きでしょー?」
そう言われながら入ったお店は、カフェだったのだが、インスタ映えを狙いまくったお店という感じで、女性客やカップルばかり。
だったのだが、
「ん……?」
その中に、ガタイの良い男と細身だが背の高い男の二人組が、
「A?」
「あ! 若利くんの愛人!!」
一際目立っていた。
「いや愛人ちがうし」
なにからツッコめばいいかわからなかったが、とりあえずそう言っておいた。
「え、なんでいんの!?」
「青葉城西のセッターじゃん。え、浮気?」
「いやだから若利くんとは愛人関係でもないし付き合ってすらないし」
「けどお前は俺が一番すきなんだろう?」
「うん誤解を招く発言をやめようか」
お店に入ったのはいいが、ちょうど混み出して席がありそうにない。
「だからってこうなる?」
「まあいいじゃん」
げっそりしている及川くんに、私は適当にそう返した。
私たちが座った席は、若利くんと天童くんが座っている。
人生初の相席である。
「天童くんって甘いものすきなの?」
「ここのパンケーキがチョコアイスとの相性がいいって聞いてサ〜。俺チョコのアイス大好きだから〜」
言いながら、天童くんはパンケーキを口に運ぶ。
「ところで、ホントAちゃんは及川くんとなにしてたの?」
「え、なんかモノ扱いされて連行された」
「え、ソウナノ!?」
「及川……」
「ちょっとゲスモンちゃん!? ウシワカちゃん!? そんな目で見ないで!? Aちゃんも言い方やばいから!!」
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作者名：紫 | 作成日時：2020年2月5日 6時
