64 気付かぬ間に誤解を作っていた姉 ページ15
練習が始まり、私はドリンク作ったり、スコア係やったり。
「ブロック二枚ー!!」
あ
やちちゃんに飛んでいったボールを、日向くんが腕でカバー。
「(おお、かっこいい)」
「日向ナイスー!」
「スミマセン!」
「大丈夫?」
「あ、はい! 体育じゃないバレーこんな近くで見るの初めてでして、すごい迫力です」
きよがやちちゃんに話しかけていた。
やちちゃんは緊張しているようだったけど、少しわくわくしているようにも見えた。
「今度こそ行くんだ。全国の舞台」
そう言って部員達を見るきよの目は、本気だった。
「(……全国、か)」
そう簡単に行けるわけない。
「(だけど、ノヤくんの守備力と、旭の攻撃力、そしてなにより)」
影山くんと、日向くんをそれぞれ見る。
「(この二人がひとつになれば、きっと夢じゃない)」
日向くんのバネと反射神経。
そして、飛雄ちゃんのコントロール。
二人なら、
きっと。
**
「やちちゃん遅くまでごめんねー!!」
「あっ、仁花ちゃん。送るからちょっと待ってて」
「えっきよ名前で呼んでるの!? いいな!! 私も仁花ちゃんって呼んでいい??」
「えっあっはい……と、いうか逆に私が送るべきというかなんというか……」
「いいからいいから」
女神と天使の帰宅を邪魔するのもあれだが、危険なので二人は私が守る!!
着替えて、仁花ちゃんと合流。
「えっと、清水先輩」
「「なに?」」
「あっそうか同じ苗字……」
「Aって呼んで!」
「私も、潔子って、呼んでほしいな」
「えっ! え、と、潔子先輩……?」
「うん」
「え……と、」
仁花ちゃんが私の名前を呼び掛けたそのとき、電話が鳴った。
「誰だｧｧｧｱｱｱｱ!?!? 後輩ちゃんとのランデヴーを邪魔するのは!?!?!?」
「ひえっ!!」
『おいおいうるせえなあ』
「あ、クロか。あ!! 結果!! 結果どうだった!?」
『おう。勝ったぜ』
「……!!! やった!! まあ信じてたけどね!!」
『上からだなー』
「潔子先輩、A先輩誰と話してるんですかね……?」
「多分、特別な関係の人ね」
「えっ」
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作者名：紫 | 作成日時：2020年2月5日 6時
