49 誰にだって苦手なことはある ページ49
烏野高校のインターハイへの挑戦が終わって、みんな、元気がない。
授業中、ちらりと旭を見る。
「……」
**
「え……あの」
「なにさ」
「……毒でも、入って……いたっっ!?」
いやこれは殴り案件だよ。
「ひどくない?? せっかく私が愛妻弁当作ってやったのに」
「あ、愛妻……」
「なに照れてんだバーカ」
ふてくされて席に座る。
旭は私の手作りお弁当を持って私の目の前に座った。
「いや……Aって料理壊滅的だろ? いだっ!?!?」
「……そりゃあ父さんとかきよには敵わないけど!!」
「いや、だからだよ」
「あん!?」
「そうじゃなくて!!! そんだけ、苦手なのに、わざわざ俺に作ってくれたんだなって……」
へにゃりと笑う旭。
けど
「いや、旭のはついで」
「え」
「きよにお弁当作って、おかずが余ったから」
そう正直に言えば、旭はずうんと落ち込んだ。
かと思えば、突然笑い出した。
「な、なに」
「あっははは!! いや、まあ……Aらしいなって」
「泣くほど笑うなよバカ」
旭は涙を拭きながら、笑顔を向けた。
「ありがとな。いつも通りで居てくれて」
「……おう」
しばらくして、そういえば、と思い出した。
「(若利……試合、だよな)」
「あ、悪いA、大地とスガんとこ行ってくる」
「おー」
……。いや、気になるよね。
だってインハイ敗退……ってことは、三年生引退するとこもあるんでしょ?
きよは残るって言ってたけど……。
私は旭の後をひっそりと追った。
「俺はここで退いたほうがいいと思った」
澤村くんの声。
迷っている?
「最後くらいやりたいようにやれよ、俺は残る。出てって欲しいって言われたらその時考える」
菅原くんは残るようだ。
「……みんな」
「俺だってまだやりてえよ。お前らとバレーしてえ」
それが、本音なんじゃんか。
ーー
「え、バレー? きよが?」
「……うん」
高校入学してすぐ、きよがバレー部に入ると言っていた。
「まあきよは足も早いし……バレーも、体育で見たけど上手かったよね」
「いや……そうじゃなくて」
「うん?」
「マネージャー、なの。男子バレー部の」
正直不安だった。
だってきよだよ???
きよが男バレのマネージャーとか……
「(……ナンパな部員とか他校の人とかが居たら危なすぎる……)」
けど私が入部するのは……
「Aも、一緒にやらない?」
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氷雪(プロフ) - とても面白かったです！更新、楽しみにしてます！ (2020年1月11日 12時) (
レス) id: b6ee0e20db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫 | 作成日時：2020年1月11日 6時
