22 大丈夫 ページ22
昨日の事を思い出したくない。
「うううううう……」
布団をすっぽり被って、呻き声を上げる。
「A? 入るよ。……A、まだ、冷えるの……?」
「いや……そうじゃなくて……」
きよが部屋に入ってきて、私はやっと布団から顔を出す。
「……せっかく旭が戻ってきて、チームも良い感じだったのに、私のせいで……」
「……そんなに気にしなくても大丈夫だと思うよ」
顔を上げると、きよは笑うんでも悲しそうでもなく、ただいつも通り、無表情に。
「皆も、大丈夫」
そう言ったから、私は安心した。
**
「A!! だ、大丈夫か……!?」
「旭……目立つからやめて……」
「す、すまん……けど、なんか大丈夫そうだな」
朝、今日は合宿なので朝練は無く、教室へ直行すると、旭が駆け寄ってくる。
が、私の顔を見るとへにゃりと、いつもの弱気な顔で笑った。
「試合とめてごめんね。あーあ、日向くんたちにも迷惑かけたなあ……」
「あの……聞いて良いか?」
「ん?」
「その、異様に寒がりな理由。あと清水が言ってた、雪の意味」
不安そうに、そして真剣そうに訪ねる旭。
クラスの人は誰も私を気にしていない。
けれど誰かに聞かれるかもしれない。
「……昼休みに、話すよ」
そう言って私は席に座り、ヘッドフォンをかけて閉じ籠った。
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氷雪(プロフ) - とても面白かったです!更新、楽しみにしてます! (2020年1月11日 12時) (レス) id: b6ee0e20db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫 | 作成日時:2020年1月11日 6時