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『 ──── ・・・あ〜・・・、ごめん? 』
彼の家に忘れ物を取りにいくと
ベッドの上で絡み合っている彼と知らない女。
目の前で いっそ可哀想に思えてくるほど狼狽える犬顔。
その隣で勝ち誇ったような笑みを浮かべている女からは
この間と同じ、香水の匂い。
あーあ、いつもこうだ。
結局私はあの男が忘れられずに、
気持ちが離れてしまって別れを告げるか浮気されるか。
この展開に慣れすぎてもはや悲しいとも思えない。
浮気に気付いたときも “ やっぱりか ” って。
いくら未だに忘れられないとはいえ、
恋人を裏切るようなことはしたくなくて
私が浮気をすることは絶対になかった。
別れよう、って言って それで終わり。
『 別れよっか 』
「 ・・・ごめん 」
『 その返事は求めてない 』
怒るとかじゃなくて、呆れる。
『 合鍵、返すね。連絡先も消す。
荷物も今日全部持って帰るから。
あんたの荷物はここ宛に送るし 』
「 ま、待ってくれ・・・! 」
カタン、とテーブルに置いた合鍵。
クマちゃんのキーホルダーなんか付けちゃって。
この子はお気に入りだったから連れて帰る。鍵だけ返そ。
『 別れた女に部屋漁られたくないでしょ?
玄関で待ってるからさ、私の荷物まとめてきてよ 』
「 Aっ、 」
『 言い訳なんていらないから 』
どんな言い訳したって浮気は浮気。
あーあ、いつになったら結婚できるんでしょうか。
「 ・・・本当にごめん 」
恐る恐る、といった表情で
服や下着くらいしか入ってないであろう紙袋を渡された。
『 私の連絡先も消しておいて。
もうこれで綺麗さっぱり終わり。じゃあね、 』
ガチャン、と背後でドアが閉まる音が聞こえる。
もちろん追いかけてくるようなことはない。
追いかけてこられても困るしね。
( ・・・明日休みか〜・・・ )
ほんとはデートの予定だったんですけどね。
なーんの予定もなくなっちゃった。
『 ・・・美味しいお酒飲みに行こ 』
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れーと - ああもう…最高…素敵な作品ありがとうございます!!!! (9月7日 22時) (レス) @page49 id: f8da97e70e (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - お腹いっぱいです。大満足。ありがとうございました。 (7月16日 19時) (レス) @page49 id: 19510e3ea2 (このIDを非表示/違反報告)
あんころ餅(プロフ) - 神作品過ぎます!!天元様と無事に会えるといいなでも世の中そんな甘くないか…笑 (7月16日 10時) (レス) @page38 id: 235e675cd4 (このIDを非表示/違反報告)
麦茶(プロフ) - めちゃくちゃ好きです…🥲💕宇髄さん格好よすぎる! (7月16日 2時) (レス) @page33 id: c33d2aaf12 (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - めっちゃ好き……最高。神作。最高すぎる……宇髄さん、カッコよすぎ……好き……ありがとうございます。私は幸せです。 (7月15日 23時) (レス) @page33 id: 19510e3ea2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:檸檬 | 作成日時:2021年3月30日 22時