33 王子様ミタイナ。 ページ33
もし、
マンションのエントランスで
二宮さんに会ってなかったら。
もし、私がマフラーを
忘れてなんかなかったら。
もし、翔さんがマンションに来る時間が
少しでも遅かったら。
モヤモヤした気持ちも
ずっと
心に居座り続けてた・・・
たくさんの偶然が、
私の気持ちを軽くした。
翔さんの思ってもみない言葉が
心に染みた。
笑う翔さんの
後ろにある窓からは
遮るものなんか何１つなくて、
紺色の闇の中で
たくさんの星たちがキラリと
小さな小さな輝きを放ち
目一杯、光ってて
私の目には
翔さんが
輝いて見えた。
そんな翔さんに
気を取られていた私は
隣に料理を持った
おじいさんに気付かず、
「お待たせしたねえ」
という優しい声に
驚かされた。
ビックリして
固まっている私をみて
また翔さんは
ふはっ。と笑う
おじいさんは
私に、優しく微笑んで
木目調のテーブルに
料理をトントン、と並べていき
ごゆっくり。
と、少し猫背気味の背中を
よりかがめ、一礼した後
厨房の方へと消えていった。
「ほんとに、マジで！ガチで！美味いから食べて」
そう言って、翔さんは
お箸を渡してくれる。
そのお箸を受け取り
小さく手を合わせ
沢山ある料理の中から、
目の前にあった
ロールキャベツを口に運ぶと
「・・・美味しい。」
俺も、辛い時よく行ってる場所。笑
と言った、翔さんの気持ちが少し分かる気がする。
でしょっ！！！
と、興奮気味の翔さんは
口にこれでもかって程の
お肉を詰め込み、
「あ〜ぁ、やっぱうめぇ・・・」
なんて、眉間にしわなんか寄せて
本当に、幸せそう。笑
カッコいいのか、
はたまたカワイイのか、
全然、わかんない。笑
わかんないんだけど、
そんな翔さんでも
輝いてる。笑
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作者名：希生 | 作成日時：2014年2月11日 18時
