30 優しさの在り方 ページ30
ん、別に。
なんか、怒らせました？
そのまま、一度元ある場所に片付けた
紺色のメニューを
取り出し、ペラペラと眺め出した。
「翔さん？怒ってます？」
だけど、返ってくるのは2度目の
ん、別に。
どうしようかと、悩んでいると
携帯にメール着信。
二宮和也
の文字。
すぐさま眉間にシワが寄りそうになる。
目の前のプンプンしてる翔さんを気にしながら
そっと開くと
数分前にも二宮さんからメッセージが
届いてたみたいで
「来週、呑みません？
相手してあげてもいいですよ？笑」
意地悪な文章からでも、
二宮さんの優しさは伝わってくる。
届いていた時間を見ると
あ〜ね。うん。
「見ました？」
「何も。」
メニューから目を離さないまま
ぶっきらぼうに言う翔さん。
「そんな仲良いんだ。
俺、必要なかったね。」
そんな、翔さんの寂しそうに
小さくポツリと呟いた言葉に、私は
ふふっ、と笑ってしまった。
「何。」
やっと目をこちらに向けてくれたけど、
ムスッとした顔に
また、ひと笑い。
「そんなわけないですよ。笑
現に、さっきまで食欲が無かったのに
今は、食べたいっ！！！の一心ですもん。
それに、こないだ出会ったばかりの人と仲良いもクソもねぇ！
って話ですよ！笑」
私のふざけた言葉に、
ほら、
やっぱりね。
やっぱり
翔さんは、笑うんだ。
「言い方っ！」
でも、本当。
本当に、良かった
一人になりたく無かったから・・・
「翔さんのおかげで、今笑えてます。
泣かずに済んでますっ！」
「なら良かった。」
そしてまた、
湯呑みに口をつけた。
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作者名：希生 | 作成日時：2014年2月11日 18時
