21 エレベーター ページ21
「さむ・・・」
会議が終わった一室を片付けていたら、
時計の針はとっくに
8の数字を超えていた。
いつもなら、帰りにスーパーに寄って
夕飯の食材を買うんだけど・・・
あいにく、食欲がまるでない。
今日はもう、お風呂にはいって寝よう。
とマンションのエレベーター前で
考えていたら
「こんばんわ。」
緑のキャップを深く被った男の人・・・？
「ああ、わかんない？笑」
クイッ、とキャップのつばを押し上げた
男の人は、
引くぐらいの笑顔を、向けてくる
「あ！こんばんわ、二宮さん！」
だけど、いつも通り
声がでかくて
二宮さんは驚いた後
キョロキョロと周りを伺い
すぐさま、口に人差し指。
「シーッ。一応、ワタシ人気あるわけよ。笑」
なかなかのドヤ顔だこと・・・笑
「で、何かあった？」
思いもよらぬ言葉に驚いて
二宮さんの顔を見るけど
直視できなくて
また、視線をエレベーターの扉に戻し
「な、なんででしゅかっ！」
・・・。
・・・・・・・。
やっちゃった・・・。
チラッと隣を見ると
肩が震えてる
「笑わないでください！」
クククッ、と小さく笑ってたかと思うと
ヒーヒー言いだし・・・
落ち着くのを待っていたら、
笑いが止まる前にエレベーターが止まってしまった
から、そっと乗り込むと同時に
静かに
閉・・・の、ボタンを・・・
「えぇーーーっ！？」
だけど、
なかなか高い声と白い手で
ゆっくりと閉まり行く扉を遮られた。
「で、何があったんしゅか？元気ないでしゅよ？」
エレベーターの中
逃げられないことをいいことに、
絶対おちょくってるよ
「昨日話した元カレが、結婚するんでしゅって！」
そっちがその気なら！こっちだって！
のってあげようじゃないか！
と、反撃したつもりが
返答がなく
「え？早くない？」
その理由は、
結構、ガチで
驚いてた。
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作者名：希生 | 作成日時：2014年2月11日 18時
