19 女子力と鼻水 ページ19
なんだかな〜。
なんなんだかな〜。
幸せはあっというまで、気付けば
地獄。
「け・・・結婚って？」
声を出すのがやっとで、
口がパクパク
開いては閉じて、また開く。
ヒナちゃんもお口がぱっくり
私もぱっくり
皆、皆、
驚いてる。
「先輩？もしかして・・・好きだったんですか？」
だけど、違う意味で。
茶色い瞳がキュルルンと見つめてくる
男だったら、ドキッとしちゃうんだろうな〜
好きになっちゃうんだろうな〜
キュルルンと見つめながら、
言っちゃダメだったかな？
不安顔。
「好き、だったのかな？笑」
アハハ、
結婚って言葉に敏感みたい、アハハ、
もう直ぐ、三十路だから、アハハ
笑ってごまかして
けど、笑えてないから
むしろ怖い。
私も気付いてるぐらいだもん
アハハ、って笑ってるんじゃない。
アハハ、って言ってるんだ
言ってるだけなんだ。
視界だって、ボヤけてボヤけて
ヒナちゃんの可愛い顔だって、
可愛いのかもわかんない。
「せっ先輩っ！？」
オロオロと近づく
可愛いかもわからない人影
アワアワしてる
可愛いかもわからない人影
「ご、ごめんっ。ごめ・・・っ、う・・・うぅ・・・」
口角上げながら、涙流したって
意味がないんだよう。
女子力高いヒナちゃんは
やっぱり女子力高くて
スッと白いフリフリレースの
ハンカチーフを
渡してくれる
「先輩、可愛いお顔が台無しですよ？」
薄暗い照明でよかった。
会議中でよかった。
人気がなくてよかった。
だって、涙と鼻水が止まらない
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作者名：希生 | 作成日時：2014年2月11日 18時
