トラウマ ページ11
輪廻転生する前、俺は神だった。俺は知識の神と呼ばれていたが、時には"言霊の神"とも呼ばれた。
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ずっと幸せだった日常はそう長くは続かない。そんなの分かってたんだ。じゃ無かったら…。
『誰や。御前等。此処は御前みたいな人間、そう簡単には入れんわ』『…っう!?止め…っ!』
俺を気絶させて連れて行かれる、何て事、有り得る筈が無いやろ?
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連れて行かれた時俺は"紅い水晶"を見た。知識だけで実物を知ら無かった俺は最初、綺麗だ、と思っていた。コレこそがトラウマの始まりだと知らずに。
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"紅い水晶"を見ていると徐々に意識が消え掛けた。頭を左右に振り、意識を取り戻そうとした。突如、俺に思い浮かんでいたのは"憎悪"だった。俺が連れて行かれた時神達は下界に居て、助けられる状態では無かったのだと頭では分かっているのに。"憎悪"を感じた瞬間、俺を連れて行った籠星空斗の息子·籠星昴が笑ったのが見えた。
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この瞬間から俺の悪夢が始まった。
『…っう!?注、射器…だっけ。コレ…。でも、コレは病気になった時に使う時がある道具だろ…?』
『…っあ!何…。血じゃない…!何か入って来る…!』
この時に入れられていたのは"大量の憎悪"だった。アルスだったらすぐに倒れていただろう。俺は榧と同じ位、憎悪の耐性があった。元々、色んな事を溜めてしまう俺は人間の負の感情を少しずつ受けてしまう事が多かったからだ。
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"大量の憎悪"が入れられ続けたある日。カランッと別の何かが入り込んだ音がした。それが更に俺を苦しめる、と言う事を知らずに。
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作者名:AK | 作成日時:2019年7月15日 9時