量 産 型 ぽ た く 【 うらたぬき 】

しっくす ページ7

｢えーと、まずは。突然呼んでごめんなぁ？｣

センラさんが安定の綺麗な声で私たちへ向けて話す。

センラさんの声がこんな近くで聞けるとか...もうむり...っ


感極まっていると、後ろからのうらたさんのホールドが強くなった。

｢Aめろちゃんは俺のでしょ｣

｢っひ...はい......｣

｢わかればよろしい！｣

やばいかっこよすぎませんか。

こんなん認知されてるじゃん、オキニ確定じゃん。

しあわせすぎる。



｢こらうらたん！独占欲発揮せんの！！｣

｢は？別に違うから！｣

｢うらさんほんまそういうとこ重いよなぁ｣

うおお...坂田さんが笑った...

｢ほら、うらたさんいじけちゃうやろ。センラもはよ続き話して｣

うわあ...志麻さんが喋った...


こんな感じで感動する度に、うらたさんのホールドは強くなっていく。

それでも絶対に苦しくないようにと気を使ってくれているのがわかって、本当に素敵な推しだと再確認出来た。


｢えっと、今回呼ばせてもらったのは...えーと...｣

｢まあ言っちゃえば、一人一人が俺らのオキニやから、やな。｣

｢ありがと志麻くん。言い方は悪いし、幻滅したかもしれんけど...｣

｢ほんまに大切なリスナーやから！降りたら怒る！！｣

志麻さんはこころに向かって、センラさんはしおりに向かって、坂田さんはゆなに向かって。

｢俺なんか降りられたら歌い手引退するかも｣

...うらたさんは、私に向かって。

それぞれがそれぞれに告げる。


｢うらたさん、それ笑えませんよ！｣

｢いやだって、Aめろちゃんがいない歌い手生活なんてもう俺には無理だよ｣


｢私がいなくてもどうにかなりますよ。...あと、名前。Aっていいます。そのまま呼んでください。｣

｢っえ、いいの！？｣

｢むしろそっちがいいです。｣

アカウント名だとなんか他人行儀で嫌だ。


｢んふ、そっかぁ。Aはかわいいな〜！！｣

よしよしされて、体を回転させられる。

そこからぐっと引き寄せられて耳元でそっと囁いた。

｢そんなにかわいくしてると、俺離せなくなっちゃうよ？｣


ああきっと、今の私は真っ赤っかだ。

どうしようもなくて、でもなにか返さなきゃと小さく言葉を呟いた。

｢むしろ大歓迎です。一生離さないでください。｣


｢ほんっと、ずるい。｣

少し顔を上げてみると、うらたさんの顔は真っ赤で。

おそろいですねと笑ってみせた。

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