とぅえんてぃすりー ページ24
「う、うらたさーん...」
我ながらなんとも弱々しい声。いや、そうなるのも許してほしい。
「どう!?着た!?」
「き、着ましたけど...」
「開けていいよね!?」
私の了解の返事を得ずにカーテンを開け放たれる。
ああ、恥ずかしい。うらたさんの目にはどう写ってるのかな。
幻滅されたりしちゃわないかな、でも優しいうらたさんのことだから似合ってなくても似合うって言ってくれるはず。
目をつぶって身構えたはいいけれど、なんの反応もない。
おそるおそる目を開けてみると、顔を真っ赤にしたうらたさんがいた。
「あ、ちょっ、A、今は見ちゃだめ!」
「えっ、え」
「ああ、もう!」
そう言いながら寄ってきたうらたさんに抱きしめられた。
待って、やばい、心臓の音が聞こえちゃう。ものすごい音立ててるよ...!
「う、らた、さ」
声が上擦る。どうしよう。
「こんなかわいいA、誰にも見せたくない」
耳元で囁かれて、もう、もう、私は限界。
「〜っ!き、き、きがえます!!」
うらたさんを引き剥がして、急いでカーテンを閉めた。だめだ、こんなことがずっと続いちゃ心臓が持たない。
ダッシュで着替えて、大きな深呼吸を1回。
小さくカーテンを開けてみると、バツの悪そうに立ってるうらたさんがいた。
「あー、ごめん...がっついた...」
年上なのに情けな、なんて少し自嘲気味に笑う。
なんだか申し訳なくなってきた。
「や、あの、嫌だった訳じゃなくて!その、恥ずかしかっただけで...」
ああもう、何言ってんだ私。どうすればいいの。
「...ぷ、くく、ははは」
へ?
ばっと顔を上げると、笑いをこらえるうらたさんの姿が。
ま、まさか...
「確信犯、ですね...?」
「っく、ふふ、ごめんって。Aがめちゃくちゃかわいいから」
「っも〜!うらたさん!」
「あはははっ」
とうとう抑えることすらしない笑いに怒りが湧いてきた。こっちはこんなに切羽詰まってるのに。全く。
ぷんぷん怒りながら試着室を出ると、うらたさんがニヤニヤ笑いながらこちらに向かってきた。
「ふふ、A、ごめんね?
でも、かわいいAを誰にも見せたくないってのは本当だから」
「っへ、」
「だから、この服俺に買わせてよ。それで、俺とのデートのときだけ着ること。わかった?」
耳元で呟かれて、首筋に小さくキスされる。
もはや放心状態でいると、うらたさんが服を持ってレジに行ってしまった。
や、やられました...。
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ちょこ - 終わってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます! (2021年9月26日 13時) (レス) @page25 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
るり(プロフ) - 西城りんごさん» コメントありがとうございます!私もこんなこと起きないかなーって妄想しながら楽しんで書かせていただいてます笑実際起きたら幸せですよね!!ありがとうございます、少しずつにはなるかもしれませんがたくさん更新していきますね! (2020年1月4日 10時) (レス) id: 657cefc331 (このIDを非表示/違反報告)
西城りんご - コメント失礼します!この作品面白いと言うか、全オタクの理想が詰まってるwもちろん面白いですよ!羨ましい、羨ましすぎるw更新待ってます! (2020年1月3日 18時) (レス) id: 856e5af163 (このIDを非表示/違反報告)
鹿野ユズナ(プロフ) - ありがとうございます。よろしくお願いします! (2020年1月2日 23時) (レス) id: 6c05b173a1 (このIDを非表示/違反報告)
るり(プロフ) - 鹿野ユズナさん» リクエストありがとうございます、全然大丈夫ですよ!承らせていただきますね! (2020年1月2日 23時) (レス) id: 657cefc331 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:るり | 作成日時:2019年12月8日 15時