【完結】愛しき実験ハムスター〈２〉【名探偵コナン】

愛してください７４ ページ31

安室side




Aを連れて部屋を出る。

タイミングよく隣のドアが開けられた。


安室「おや、今からお呼びしようと思ったのですが。」

コナン「そのわりには数歩通りすぎてるよね？」


「盗聴してるようだったので必要ないと思いました。」の意味を込めて笑みを浮かべ訴える。

無言の答えは届いた様子。


沖矢「では行きましょうか。」

安室「えぇ。」



おかしい、コナン君と沖矢さんとの距離がかなり開いてしまった。

Aのスピードが遅い訳じゃない。

二人が異常に早いのだ。

気をつかわれているな。


人が多いわけではないが、地下のバイキングへは少しばかり距離がある。

手を繋いでくれたほうが助かるんだが。



．．．次拒絶されたら、もうやめよう。



そう決めてAの右手を軽く握る。

＿＿＿そうか。

掴んだ右手はすると抜けてしまった。


安室「！」

逃げたはずの手が、俺の右手を優しく握ってきた。

なぜ＿＿＿？


安室「．．．あ。」

左手に巻いた包帯。

もしかして、怪我した方を握ったら痛いから？



そうか、あのときは人が多くて反対側に回れなかったんだ。

それでも手は繋いだ方がいいとでも思ったんだろうな。


たったそれだけ。

それだけのことが、当たり前みたいに出来るんだな。


バーボンを捨てきれずにAを殺そうとしたときも、気にせず休憩をすすめたり。

今だって、俺から握ったのに怪我を気にして．．．



『とーる？』

穢れを知らない瞳。

その瞳に吸い込まれるように、優しさをはくその甘い口を塞ぎたい衝動にかられる。




コナン「えーお取り込み中の所悪いんだけどさ」

そこで気づいた。

唇が触れ合うギリギリのところで止まる。


コナン「まだ手は出さない方がいいと思うよ。」


自分でも衝撃だった。

感情すら時に、本人の自覚を持たず走り出す。

辿り着いた先の答えは、子どもに伝えるにはまだ早い。


ーーーーーーーーーーーー
コナンside




バイキング会場に着いたとき、ふと袖を引かれた。

コナン「どうしたの？」

『さっき、助けてくれてありがとう。』


お礼を言われるってことは、嫌だった？！

安室さんを慕いまくってるAが？！



コナン「なんでありがとうなの？」

『キスは戦いだから。』

コナン「？！」

そこで思い出す。

Aは知識だけ一人前の子供。

過去二回キスの用途をまちがえている。



それにしても、その止め方はねぇだろ．．．

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