【完結】愛しき実験ハムスター〈２〉【名探偵コナン】

愛してください７２ ページ29

Aside




透、怖かった．．．


初めて向けられたあの視線。

冷たいんじゃなくて、攻めてるんじゃなくて、悲しげで失望されたような．．．

そんな視線。


いやだ、嫌われたくない。

失望されたくない。


もし、もしこのまま透が帰ってこなかったら？

シェリーの時みたいに、またあの絶望を味わうことになるの？


ため息をつかれるよりも辛かった離別。

ベルモットに聞かされたときの、足下が崩れさるような恐怖。



また、独りになってしまう．．．



恐る恐る脱衣室から出ると、そこに彼の姿はなかった。



まだ、買い物してるんだよね？

捨てたんじゃないよね？

戻ってきてくれるよね？



思考がマイナスの方向へ向かう。



過ごした日々が楽しく明るいものほど、失われた時の絶望は大きい。



透．．．

はやく帰ってきてよ．．．



駄目なところは全部直して見せるから。

だから、お願い．．．！！



独りを恐れる少女の声にならない叫びに反して、刻々と時は流れていった。


その場に立ち尽くして動けない少女の涙がブレスレットに落ちた。

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