推しに刺されたい人生でした。【鬼滅の刃】

第三話　私だけの歌 ページ6

『…あの！』



少女は、目をぎゅっと閉じたままそう言った。



そして。



『一曲、良いですか！？』



まるで一生に一度の願いを訴えるかのごとく、



真剣な顔をしてそう言った。



「カカカッ、良いぞ！」



『…なら、いきます。』



少女は、不意に立ち上がる。



そして。



『聞いてください。《incompatible(インコンパーチブル)》』



力強くも優しい声で、歌い始めた。














なんて鮮やかな色彩なんだろう

若葉のような緑に 煉瓦のような赤

季節は移り変わるけれど

私にとって貴方は 一生変わらない

何にも代えることの出来ない 宝物だから

やっとこの世界で生きていけるから

やっとこの光を手に取れたから

風を切るような楽しみも

天に轟くような怒りも

私が全部受け止めるの


なんて鮮やかな色彩なんだろう

夕焼けのような橙に 夜空のような青

時間は流れ続くけれど

私にとって貴方は 一生変わらない

誰にも変えることの出来ない 想い出だから

やっとこの世界で生きていけるから

やっとこの光を手に取れたから

空を裂くような喜びも

胸を突き刺すような哀しみも

私が全部受け止めるの


なんて鮮やかな色彩なんだろう

三日月のような 黄金の光が差し込んだ空に叫ぶよ


やっとこの世界で生きていけるなら

やっとこの光を手に出来たなら

明日を断つような憎しみも

今を埋め尽くしてく怖さも

愛に変えて抱きしめよう















…歌い終わった少女は、全てをやりきったような


表情で顔を上げた。

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