第拾話 一触即発 ページ16
「まだ目覚めぬのか…?」
腕の中で、未だ眠り続ける少女を見つめ、哀絶は
そう呟いた。
あれほど熱かった体温は、四人の懸命な努力の
お陰で下がってはいたが、それでもまだ目覚める
気配はなかった。
そしてやがて夜になり、哀絶たちが無限城の
外へ出てしばらく経った時。
『…?』
少女が、ようやく目を覚ました。
「…A……」
哀絶は、喜びのあまり少女の顔を至近距離で
まじまじと見つめた。
そして、それが永遠に続くかと思われたその時。
「……おい、何をしている?」
積怒により、哀絶は現実に引き戻された。
「見れば分かるじゃろう。Aがようやく
目を覚ましたのじゃ。」
「それは分かっておる!」
積怒の目には、明らかに嫉妬の表情が浮かんでいた。
「そう怒鳴るな。娘がびっくりするじゃろう。」
負けていられるかと思った哀絶は、ゆっくりと
立ち上がった。
そして改めて、積怒を睨み付けた。
「黙れ…」
瞬間、哀絶は胸ぐらを勢い良く掴まれる。
しかし、哀絶は一向に怯むことはなかった。
そして、空気は一層緊張感を増していった。
…当の少女が、怯えるどころか、恍惚とした表情で
その様子を見つめていたことも知らずに。
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ネオンライト - ありがとうございます!皆さんもいろいろとお疲れ様です('ω') (6月7日 22時) (レス) id: ec078ab941 (このIDを非表示/違反報告)
こだぬき(プロフ) - 完結お疲れ様でした、二人の幸せなこれからを想像してしまいます。 (6月7日 19時) (レス) id: df107beb4b (このIDを非表示/違反報告)
ゆうり - 完結おめでとうございます!そしてお疲れ様でした! (6月7日 18時) (レス) id: 02cb98763f (このIDを非表示/違反報告)
ネオンライト - 6/7完結いたしました!また何かあればご報告ください😌 (6月7日 16時) (レス) id: 1121998891 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうり - はい!こちらこそよろしくお願いします! (6月5日 23時) (レス) id: 02cb98763f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネオンライト | 作成日時:2023年6月2日 13時