鬼が好きな少女は。弐

陸拾玖 ページ19

鬼舞辻side

夜になり、さぁ、下弦の鬼を集めようとした時だった。


「無惨様…A様がまだ上弦の弐様の元へ行かれてないのですが……」

「…何？」


鳴女が放った言葉に怒りがフツフツと湧き上がる。


「攫われたという事か？」

「…その可能性も…っ…申し訳ございません…」

「…下弦の鬼を集めろ。今すぐにだ。」




そこからは早かった。

怒りに任せ、下弦を解体し、下弦の壱だげがなかなか面白い反応をして、残した。




手に付いた血を拭いて、他の鬼にAを捜させた。
夜はまだこれからだ。必ずAを見つけ出し、攫った者の家族まで一人残らず殺そう。



「明日の朝までには君を見つけてみせよう。」


ｽﾝｯと擬態を変え、夜の街に出た。





＊＊＊



「…」


「も…申し訳ございません、何処にもA様は…」


「黙れ。」


夜明けギリギリまで捜したが、Aは居なかった。



「お前は使い物にならん。」



首を切り落とす。



「……Aは鬼殺隊に捕まったのでは…」

黒死牟の言葉に目を見開く。


「鬼殺隊……だと？」



……やはりAを外に出すべきではなかった。




「……Aを鬼殺隊から奪い取り、私の目の前に持ってこい。……Aを殺す。」


その瞬間上弦の鬼は目を見開いて固まった。



「……えっと無惨様〜俺の聞き間違いでしょうか？Aちゃんを殺す？ですか？」
童磨は眉を下げながらニコニコして言う。

「あぁ。ただ、Aを殺すのはこの私だ。Aを持ってくる際、傷一つ付けてはならん。いいな。」


上弦の鬼は皆頷いた。



鬼狩り…あの者達にきっと私の事を聞かされて、Aは私を完全に嫌いになるだろう。
……自分の物にならないのなら、殺して、鬼にして自分の物にしてしまえばいい話。

ただ一つ気がかりなのはAが血に耐えられるかどうか。
ただそれだけだが。

漆拾→←陸拾捌

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す