優しい青の空は、やがて雨とともに黒く【終メラ】 (ページ2)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:944 hit

はじまりページ2

俺は代々シヴォルタ指揮官を務めてる家に生まれた。
勇敢な父と、優しい母と、大好きな兄。

幸せだった。

美味そうなパンの匂いで目が覚めて、
昼は兄と色んなことして遊んで、
夕方に父が帰ってきたら家族で沢山話をして、
夜は明日に希望を抱いて眠った。
毎日が輝いてた。

なのに、

ある日父は夕方になっても帰ってこなかった。
反対勢力と少し大きなケンカをしてると、母は言っていた。
大丈夫。パパは強いから。
自分に言い聞かせるみたいに、兄は言った。

三日後、父は頭だけ帰ってきた。

まぁ、予想つくよな。
アルフィーネの奴らが、指揮官の父の首をはねた。
いつかこうなることは想像していた。
けどあまりに無残な姿の父を見て、吐き気を抑えられなかった。
分かっている。
もういない。
二度と父に頭を撫でてもらうことも、
嫌いなものでも食べろ、と叱られることも
木登り出来たことを褒められることも
『ただいま』を聞けることも、
ない。永遠に。
死んだのだから。
しょうがない。
わかってる。
なのに。
どうしても信じられなくて、
信じたくなくて。
心の死ぬ音がした気がする。
俺じゃない。
兄でもない。
横を見ると、

まるで死神のような顔をした母が泣き崩れていた。

ここから、少しずつ日常が壊れていく。