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side_Yugo
”Acid Black Cherry”、
俺が知っている中では一番煌めく世界。
俺はここでいろんな人間の人生の一部を
目の当たりにしてきた。
女に溺れ何もかを失った男、散財の果て
人生狂った者、色恋に魅せられ我を捨てた女…
俺はそれを傍観してきた。
決して楽しくはなかったが、つまらなくもなかった。
バーテンとして、ほんの数秒の登場人物。
夜が開け、大きな掛け時計は7時を指している。
陽が昇る頃には散々遊んだ客も魔法が解けたように
我に帰り、いつも通りの日常へと戻った。
店内に残るのはいわゆる”サクラ”の美男美女と
バーテン、そしていつまでも夢の時間に
すがりつこうとする腐った人間。
「こーちぃ」
そんな閑散とした店内で俺の名前を呼び
近づいてくる仮面の人影。
もしこの店の物語があるのならば、
主役はこの人で満場一致だろう。
カウンター席に着き妖艶に膝を組む。
誰が残したのかわからない酒を飲み、
不味そうな顔をしている。
「…どうゆうつもり？」
「だって喉乾いちゃったんだもん」
「そうじゃなくて、さっきだよ」
「…何が？」
「たい…」
「ジェーン」
「…ジェーンが自分から声をかけるなんて」
「あぁ…別に。気まぐれ」
戯けるように「にゃーん」と言うジェーンは
俺に手を差し出す。
「…だーめ、まだお客さんいるから」
「いいじゃん。一本くらい」
「においがつくでしょ」
ジェーンが見せる顔は人によって様々だ。
可愛らしい子猫のような時もあれば、
毒を吐く気高い猫のような時もある。
「…それにしても彼、マジっぽかったよ」
「そりゃそうでしょ。
アタシに堕ちない男なんていないの」
わかりやすく語尾にハートが見えた。
大きなため息をついた瞬間、素早くジェーンの手が
伸びてきてネクタイを思い切り引っ張られた。
「…何？暴力反対」
「こーちもでしょ？」
「…は？」
「アタシに堕ちない男なんていない。
…それはこーちも例外じゃない」
「…何言ってんの」
「…今夜暇なんだけど」
「……もう朝だよ」
「あーもう！そーゆーのいらない」
「ほら、馬鹿なこと言ってないでもう着替えな」
適当にあしらえば、
プンスカ怒りながら俺から離れていく。
…俺は知っているから、触れない。
あの人に触れ、堕ちた者がどうなるのか…
そこに幸運な未来なんて、存在しないことを。
.
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hana(プロフ) - 完結おめでとうございます。大好きな作品だったので、なんだかちょっと寂しいです…(´；ω；`)何度も読み直します！次回作も楽しみにしております！ (2020年4月20日 20時) (
レス) id: bf8187d250 (このIDを非表示/違反報告)
マカロニ(プロフ) - 完結おめでとうございます！今回も楽しく拝読させていただきました。次回作もとても楽しみにしています！ (2020年4月19日 9時) (レス) id: 5839742182 (このIDを非表示/違反報告)
ばる∞(プロフ) - 完結お疲れ様でした！いつも更新されるたびわくわくが止まりませんでした。本当に素晴らしい作品をありがとうございます。次回も楽しみにしています(^^) (2020年4月19日 7時) (レス) id: 280528419c (このIDを非表示/違反報告)
たig - はじめまして。完結お疲れ様でした。この作品の更新をとっても楽しみに過ごしていました！さいか様の作品、すごく大好きなので次回作も楽しみにしています。 (2020年4月19日 6時) (レス) id: a0afc9d2fb (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - 完結お疲れさまです！！いつもこの作品の更新を楽しみにしていました。次回作ができましたら、また見に来ますね！ (2020年4月19日 0時) (レス) id: 80de75d42c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さいか
| 作成日時：2020年3月6日 0時
