#39 ページ39
side_Taiga
北斗が嘘をつくわけないって、
そんなことはわかってる。
わかってるけど、無性に不安になって、
怖くなって、何も信じられなくなる。
あの女と、北斗が並んでいるところを
勝手に想像しちゃったりして、それは俺と並ぶより
違和感がなくて、それでまた勝手に悲しくなった。
テーブルの上のスマホが揺れた。
大好きな人からの着信。
でも今はでたくない。
声を聞けば泣いちゃいそうで、
そして、めんどくさい奴になっちゃいそうで…
あぁ、そうか。
俺はまだ、あの頃と変わってないのかな。
…いや、変わってない…と言うより、
戻ってしまったのかもしれない。
愛して愛して、俺はまた弱くなった。
「…笑えるなぁ」
そんな独り言は儚く暗い部屋に響いた。
こんな自分、嫌いだ。
俺は力なく立ち上がり、
使い古されたクローゼットを開けた。
寝巻き用のジャージを脱ぎ、
洒落た服を何枚か取り出す。
持っている服はどれも真っ黒で、
何を着てもそう変わらない。
お気に入りの緩めのパンツに、黒いパーカー。
どちらも一応ブランドもの。
それを身につけ、部屋を出た。
こんなボロアパート、すぐに引っ越せる財力はある。
けれど、変に湧いてしまった愛着のせいで
なかなか離れられずにいる。
鍵を閉める音ですらアパート全体に響いている。
階段を降り、夜空の下ふらふらと足を進めた。
あいにく、月も星も見えない夜空は心細く、
俺は切れかけの街頭のみを頼りに通い慣れた
街路樹にまでたどり着く。
何度も訪れた扉の前で一度深呼吸をして
インターホンを押す。
しかし、何の反応もない。
仕方なく俺は扉の前に体育座りをし、
家主の帰宅を待った。
「…我、大我！」
どれくらい時間が経ったのか、
いつの間にか寝てしまったらしい。
そんな俺を心配そうに起こすのは、この部屋の家主。
「…北斗」
「何してんの！こんな…もう、寒かったでしょ？
ほら、立てる？」
「うん。ごめん」
ごめんね、困らせて…
北斗は俺の肩を抱き、部屋に入れてくれた。
「連絡ないから心配してたんだよ？
...ちょっと待ってて、こーちに伝えてくる」
そう言って北斗はこーちに電話をかけた。
「…あ、こーち？大我見つけた。…うん。今俺ん家。
…わかった。じゃ」
.
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hana(プロフ) - 完結おめでとうございます。大好きな作品だったので、なんだかちょっと寂しいです…(´；ω；`)何度も読み直します！次回作も楽しみにしております！ (2020年4月20日 20時) (
レス) id: bf8187d250 (このIDを非表示/違反報告)
マカロニ(プロフ) - 完結おめでとうございます！今回も楽しく拝読させていただきました。次回作もとても楽しみにしています！ (2020年4月19日 9時) (レス) id: 5839742182 (このIDを非表示/違反報告)
ばる∞(プロフ) - 完結お疲れ様でした！いつも更新されるたびわくわくが止まりませんでした。本当に素晴らしい作品をありがとうございます。次回も楽しみにしています(^^) (2020年4月19日 7時) (レス) id: 280528419c (このIDを非表示/違反報告)
たig - はじめまして。完結お疲れ様でした。この作品の更新をとっても楽しみに過ごしていました！さいか様の作品、すごく大好きなので次回作も楽しみにしています。 (2020年4月19日 6時) (レス) id: a0afc9d2fb (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - 完結お疲れさまです！！いつもこの作品の更新を楽しみにしていました。次回作ができましたら、また見に来ますね！ (2020年4月19日 0時) (レス) id: 80de75d42c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さいか
| 作成日時：2020年3月6日 0時
