#29 ページ29
side_Juri
髪の色も、顔つきも、声色も変わってしまった
大我は、 6年前よりもずっと綺麗になっていた。
俺が望んだ未来ではなかったけれど、
それでもこんなに綺麗になれたのならば
よかったのかもしれない。
なんて自分に言い聞かせながら、
俺は乱雑に服を脱ぎ捨てる。
今さら、｢本当は好きだった｣とか、
｢ずっと一緒にいたかった｣なんて…無責任すぎる。
大我が求めているのは、そんなものじゃない。
俺の身体のラインを大我は指先でなぞり、
ニヤッと笑った。
そして大我も服を脱ぎ、お互い、素肌を晒し合う。
雪のように白い肌は昔と変わらないけれど、
しかしそこには無数の紅が散らばっていた。
ただのキスマークじゃなく、
どれも古く色あせたものばかり。
愛情表現…と言うよりは、乱雑で、痛々しく…
｢…汚れた証｣
大我は俺の手を取り、痣となった部分を触らせる。
｢…こんな仕事だから、
色んな男がいる…女もいるけど｣
そして、脇腹に残る切り傷のようなものの
痕を触らせてきた。
｢これは女にやられた。
…捨てたことを恨まれて…店に来た時に……｣
｢それなら、もうやめればいいのに｣
そう言うと、大我はキッと俺を睨む。
｢誰のせいだと思ってんの｣
｢…それ言われると……｣
苦笑いを返すと、大我は俺を引き寄せ口を塞ぐ。
｢…もういいから。早く抱いて｣
大我がそれを望むなら…と、
俺は早々に大我のナカを解す。
｢…っん、｣
｢…反応はやっ｣
｢ねぇもっと…｣
大我の積極性に押されつつも、俺はなんとか
イかせイかされ、愛の蜜を零す。
白濁に汚され、溺れ、夜は静かに俺らを蝕んだ。
｢…巧い猫でしょ？｣
｢まぁ、たしかに｣
｢……全部、樹のせいだからね｣
｢…違うでしょ。全部じゃないよ。…巧くなったよ｣
｢……そっか｣
大我は笑って無理やり起き上がり、
腰を擦りながらも早々と服を着始めた。
｢…もう行くの？｣
｢…もちろん。もう終わり。…さよなら｣
｢…行かないでよ｣
｢……ダメ。じゃあね｣
振り向きもしない大我の腕をつかみ、
無理やりこっちを向かせる。
大我の目いっぱいに涙をため、
今にも零れてしまいそうだった。
｢…また泣かせる気？｣
そんなこと言われたら、引き留められない。
俺の手は力を失い、大我の腕を離した。
逃げるように部屋から立ち去る大我。
俺は大我に捨てられた。
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hana(プロフ) - 完結おめでとうございます。大好きな作品だったので、なんだかちょっと寂しいです…(´；ω；`)何度も読み直します！次回作も楽しみにしております！ (2020年4月20日 20時) (
レス) id: bf8187d250 (このIDを非表示/違反報告)
マカロニ(プロフ) - 完結おめでとうございます！今回も楽しく拝読させていただきました。次回作もとても楽しみにしています！ (2020年4月19日 9時) (レス) id: 5839742182 (このIDを非表示/違反報告)
ばる∞(プロフ) - 完結お疲れ様でした！いつも更新されるたびわくわくが止まりませんでした。本当に素晴らしい作品をありがとうございます。次回も楽しみにしています(^^) (2020年4月19日 7時) (レス) id: 280528419c (このIDを非表示/違反報告)
たig - はじめまして。完結お疲れ様でした。この作品の更新をとっても楽しみに過ごしていました！さいか様の作品、すごく大好きなので次回作も楽しみにしています。 (2020年4月19日 6時) (レス) id: a0afc9d2fb (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - 完結お疲れさまです！！いつもこの作品の更新を楽しみにしていました。次回作ができましたら、また見に来ますね！ (2020年4月19日 0時) (レス) id: 80de75d42c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さいか
| 作成日時：2020年3月6日 0時
