#27 ページ27
side_Yugo
予定より少し早めの大我の復帰。
まるでここ数日の空白が嘘のように
あたり前に大我はジェーンとして返り咲いた。
「ちょっと太った？」
「うっさいなぁ」
愛用のドレスが少し張って見えるのは
どうやら見間違いではないらしい。
元々、不健康そうな体型ではあったから
まぁこっちの方がいいとは思う。
あーだこーだ話しているうちに、彼のご登場。
「…樹」
大我がいない間も彼は毎日、23時に必ず現れた。
彼の本音を知ってしまった今、
俺はどちらか一方の肩を持つこともできない。
大我の完全味方はできない。
しかし、こうして戻ってきたということは
大我にも何か考えがあるのだろう。
俺は黙って二人を見守ることにする。
樹はすぐにカウンターに座る大我のことを見つけた。
大我も視線を送り、ヒラヒラと手を振ってみせる。
「…久しぶり。
なんで来なかったの？連絡もくれないし」
「...別に。気分屋なの」
樹が隣に座れば、大我は一気にジェーンになる。
性別も、感情もわからない声色でスカした台詞を
口にする。
「俺、ずっと来てたんだ。…ね？」
樹は俺に同意を求めてきた。
「まぁ…」
「…一途アピール？それとも暇人アピール？？」
いつにも増してSっ気たっぷりの大我。
しかし樹はそれが逆に楽しいらしい。
「そうそう暇なの。… 今夜も」
仕掛けに入った樹と、それを待っていたかのように
ニヤッと笑みをこぼす大我。
「誘ってんの？」
「もちろん」
大我はどう出るのか、
誘いに乗るか、乗らず切り捨てるのか…
「…彼女いるの？」
「なに、そんなこと気にしてんの？」
「…別に。
けど、もしいるならその人を傷つけたくない」
「…そゆことね」
樹の反応からして、いないわけではないのだろう。
けど、本気じゃない。
でなければこんなに通い詰めてまで
ジェーンを求めないだろう。
樹の本命はジェーンだ。
「…絶対にバレないようにして。それだけは誓って」
「…わかったよ」
樹のその言葉を聞くと、大我は立ち上がり、
くるりと回って奥へと向かった。
どこに行くのかわからない樹は
ジェーンの背中を見つめるだけ。
「…来ないの？...楽しいコト、しないの？」
そう言い残し先に暗闇へと大我は消えた。
樹も後を追い、暗闇に飲まれた。
ここからは二人だけの世界。
誰も知ってはいけない、
二人だけの夜が6年ぶりに始まった。
.
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hana(プロフ) - 完結おめでとうございます。大好きな作品だったので、なんだかちょっと寂しいです…(´；ω；`)何度も読み直します！次回作も楽しみにしております！ (2020年4月20日 20時) (
レス) id: bf8187d250 (このIDを非表示/違反報告)
マカロニ(プロフ) - 完結おめでとうございます！今回も楽しく拝読させていただきました。次回作もとても楽しみにしています！ (2020年4月19日 9時) (レス) id: 5839742182 (このIDを非表示/違反報告)
ばる∞(プロフ) - 完結お疲れ様でした！いつも更新されるたびわくわくが止まりませんでした。本当に素晴らしい作品をありがとうございます。次回も楽しみにしています(^^) (2020年4月19日 7時) (レス) id: 280528419c (このIDを非表示/違反報告)
たig - はじめまして。完結お疲れ様でした。この作品の更新をとっても楽しみに過ごしていました！さいか様の作品、すごく大好きなので次回作も楽しみにしています。 (2020年4月19日 6時) (レス) id: a0afc9d2fb (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - 完結お疲れさまです！！いつもこの作品の更新を楽しみにしていました。次回作ができましたら、また見に来ますね！ (2020年4月19日 0時) (レス) id: 80de75d42c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さいか
| 作成日時：2020年3月6日 0時
