【ヤ/ン/デ/レ】溺愛、どころか病んでますが。【ONE PIECE】 (ページ23)

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炎がにじゅうとにページ23

「とりあえずトラファルガー！！その手、離せよ」

「断る」

「あァ？」

まさに二人は戦闘を始めようかとしていた。
私はもう見たくない。現実から逃避したい。ただそれだけ。

どうせ帰ったら一週間は外に出して貰えないだろうし、何されるかもわからない。

私は意を決して、ローに話し掛けた。

『ロー、あの人が連れなの。だからもう大丈夫、ありがとう』

「っ………」

言ってみたものの、ローは何だか気難しそうな顔をしてグイッと私をまた引き寄せた。
エースよりも少し背が高い彼は、炎を纏ったエースを見据えて挑発げにフッと笑った。

「ッ、テ、メェ…！！！」

『っだ、だめだよ！エース！』

飛びかかるエースに思わず制してしまった。

………どうしよう、もうかなり危ない。
というか、私殺されないかな……「何故アイツを庇ったー!」グサー！みたいな…。

(もう泣きたい、死のう。)

私は死ぬ覚悟をして、ローから離れた。
ローは分かっていたみたいで、「おれの事、忘れたらタダじゃおかねェからな」とエースに見られないようにビブルカードを渡された。

こんなキャラ濃くてエースにも挑発した彼なんて、忘れられるわけが無いでしょう。

バイバイ、と手を振れば、静かに振り返してくれたローから視線をエースに変えて、『帰、えろ…？』とおずおずと彼の大きくてマメのある手を握った。

彼からは尋常じゃない程の殺気が漏れていてじわりと涙が浮かんだけど、それでも私は気付かないふりをして帰路を辿った。

．

船が見えてくれば、エースは私を追い抜いて私を問答無用で引っ張っていく。

『痛いよ、エース』と言っても聞かず、船へ戻れば彼は執務室へ私を放り込み、鍵を掛けた。
私は咄嗟に受け身を取ったものの、非戦闘員の為色々なところを床にぶつけた。

エースはそんな私に気付かないとばかりに手錠を持ち出し、私の手首に掛けた。

「………お前は、誰のだ？」

私が気を失わない程度に覇気を浴びせて聞いてくるエースに、私は冷や汗を垂らしながら『エースの、だよ』と答えた。

「そうだよなァ、そうだよなァ。……けど、それじゃあ何でおれ以外の男の名前を呼んで、笑って、庇ってたんだ？」

エースの目に、いつもの光がない。
どうしよう、エースを怒らせてしまった。

一週間外に出られないなんてものじゃないな、ここまでとなると。