テイルズオブジアビス〜揺れる心〜

56　心情 ページ28

ル「……う……」

軍港に着いて早々ルークはそう声を漏らしたが、
仕方ないと思った
現に私たちもそこで足を止めているのだから…


ーーー血の海


あちこちに、死体が転がっている
近寄ってみると、刀創ではありえない形の傷が
無数残っていた

詳しく調べるまでもない。飛び去った怪物ーー
あれが予想通り、六神将“妖獣のアリエッタ”の
魔物であるなら、容易く出来るだろう…


ーー私たちの…せい……？ーー


首のない兵士や少年などの死体を見下ろして、
そう思った

アリエッタとは、タルタロスでは勿論、
フーブラス川でも会っているのだ
だが、あの時は、敵がどうこうとか言っている
暇などなかった
何故なら、障気が出てきたからだーーーー

私は彼女を助けようと提案し、イオン様も
それに賛同してくれた
他の皆は、渋々…といった感じだが、あれは
間違いじゃなかったはず……

薄々こうなると思ってはいたものの、まさか
こんなに早く襲撃するなんて思わなかった…


ーーねぇ、父様。私はまた…間違えたの
でしょうか……ーー


勿論、その答えが返ってくることは無かった


・


・


・


「！」

船着場のほうから、剣戟(けんげき)に似た音が
聞こえて、私たちは顔を上げた

ーーー生存者！？この状況で？！
だが、その疑問はすぐに解決した
ーーヴァン謡将なら
あの人なら、生きているかもしれない
そう思ったからだ

ルークが走り出したので、私たちも後を
追うことになった

…………動かない、無残な死体を見ないように
しながら…………

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