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「はいはい、そこまで」
直人先輩の声にハッとして、声がしたほうを見る。
「直人先輩……荻花先輩まで…」
いつまでも言い争っている私たちを見て、直人先輩と荻花先輩が、私たちに近づいてきた。
「ふたりとも、部活中にケンカはするなよー」
「でも、直人、ケンカするほど仲がいいって言うじゃん。」
「「はっ?」」
荻花先輩の言葉に、私と広臣の口から同時に声が漏れる。
「ほら〜、息ぴったり。付き合いっちゃいなよ、ふたりとも」
「まほさん、やめてください。だいたい、俺がまほなんかを相手にするわけないじゃないですか」
「は? それは、こっちのセリフなんだけど」
再び睨み合う私と広臣。
「だから……ふたりとも、そこまで! あと、荻花もふたりをからかわない。」
「「「はい。」」」
直人先輩の言葉に、しぶしぶ俯く私と広臣。
そして、荻花先輩がしょんぼりうつむく。
実は………直人先輩と荻花先輩は、付き合っている。
ふたりは、私と広臣と同じように幼なじみ同士。
だからふたりを見ていると、本当に仲がいいんだなーって思うし、ちょっと羨ましい。
だって、それに比べてわたし達は、顔を合わせれば言い合いしてばっかりだから。
広臣が私のことをどう思っているかは別にして、私がもう少し素直になれたら、この関係も少しは変わるのかな?
「広臣、パス練するぞ」
「はい」
「まほちゃんも、こっちで仕事」
「はーい」
お互い、先輩についていく。
チラッとうしろを振り返ると、広臣の真剣な顔が目に入った。
サッカーボールが目の前にあると、広臣の顔つきが変わる。
いろいろな表情をする。
小さい頃から、そんな広臣を見てきた。
サッカーボールを追いかける広臣を。
そんな姿に、私は惚れたのかもしれない。
キラキラ輝いている広臣に。
私の気持ちが、いつか広臣に届く時は来るのかな?
素直に、自分の気持ちを伝えられる時が。
そのときは、サッカーをやっている時以上に真剣に聞いてもらうからね!
広臣の背中に、心の中で叫んだ。
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作者名:安井まあちゅん大我 | 作成日時:2014年8月24日 15時