出逢えた奇跡-虹-part2

#32 ページ5

片想いの曲ということで選ばれたのは、ほほえみの咲く場所という曲だった。

宇野ちゃんとにっしーは僕の憂鬱と不機嫌な彼女。

私達の演出の後にメンバーで歌う。

｢好きだよ……。｣

打ち合わせ通り、そう呟き後ろから抱きしめられる。

だっちゃんの声がマイクを通して会場全体に響き渡る。

綺麗な伴奏のあと、にっしーの透き通る声が脳に響く。


自分の番が回ってくる時になると、視界がぐらつきそうになる。

｢はぁ、はぁッ！｣

ダンスをしてる体が徐々にキレがなくなっていく。


完璧に、歌わなきゃ。

そう思うほど、力が抜けていく気がした。

やばい……。


いつの間にか歌が終わり、ＭＣのコーナーに移る。

曲の5分間がとても長く感じた。

｢今日はですね〜｣

｢ハハハッ！｣

メンバーの中で笑いが起こる。

けれど、あたしは話に入っていけなかった。

視界はぼやけ、足はふらつきだす。

もう、限界だと感じたあたしはなんとか足を動かした。

ステージ上から静かに姿を消して、水を勢いよく流し込む。


緊張とか、ストレスが溜まってたのかな。

最近は充分な睡眠もとれていなかった。

身体が限界を訴えている。

なんで、こんな時に……。

なんとか意識を集中させて戻ろうとした時。

｢ッ！｣


視界が急に真っ暗になり、身体に大きな衝撃を感じた。

なにが起きたのか分からないまま、あたしはそのまま目を閉じるのだった。

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