37話 ページ37
それは突然やって来た。
みんなと鮎の塩焼きを食べて数日経った。
岩柱稽古を終えて一人鬼を探しているときだった。
「水の呼吸 弐ノ型 水車」
「喰ってやる！」
「美味い歳だぞ！」
突然地面が抜けて見知らぬ空間へやって来た。
指の数では到底足りない程の鬼に囲まれて絶賛処理中。
群衆鬼の強さは下弦程度。並の隊士なら相手にできない…と思う。
「これは…どういう状況」
「呑気の喋ってんじゃねぇ人間！！」
「喋れねぇようにしてやる！！」
呑気に喋ってるのはどっちだし。
「…この城の地図とか持ってる？」
「なんだこいつなんか腹立つ！！」
「余裕ぶってんじゃねぇぞ！」
「はぁ…、参ノ型 流流舞い」
種族が違うだけでこうも会話が出来ないものか。
鬼は再生するし尋問も労力を使うだけで面倒だし…、
「…どこへ行けば良いんだろう」
どっちがゴールか分からないし、この城動くし。
せめて外部の人間か他の人と連絡が取れれば良いんだけど。
「お、お前は…冨岡の妹！！」
「誰」
「俺は村田だ！」
「あの…、これはどういう」
状況が掴めないんですが、と周りを警戒しながら近づけば、何も知らないのかと逆に驚かれた。
「全員この城に留まっている、柱がどこに散らばっているかは分からないが上弦と対峙している可能性が高い…、あぁ怪我したなら兪史郎って奴に言えよ。」
凄い医者だの鴉の伝令だの柱だの、もう訳が分からない。
「………」
「お前絶対分かってないだろ」
知能レベル低めの私。
言葉は少なく基本武力行使の環境で生きて来たから言葉で説明されてもよく分からない。
「つまり、最終局面ってやつだよ。」
「……え、急」
「鬼が“これから総出で襲撃するぜ！”っていうわけねーだろ！！」
「確かに。」
つまりなんだ、今ここで力尽きれば死ぬということか。
え、急。(2回目)
「…お館様は」
「堂々たる最期を迎えたらしい。」
「………」
お館様が亡くなった。
…他の人は、
他の、
「冨岡は…まだ、分からない」
「………先行きます。」
「あ、おいお前！！」
なんだろう、なんでこんなに汗が出るんだろう。
なんでこんなに唇が震えてるんだろう。
_
_
「カァーッ、胡蝶シノブ、上弦ノ弐と戦闘ノ末ニ死亡！！」
「…お前、最初の伝令がそれはやめて欲しかった」
鎹鴉の声に怯えながらの戦いが、始まった。
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柊蓮(プロフ) - 毎年、誕生日に読んで号泣してます…大好きです。この作品も、同じ作者様の作品も。ついに夢主ちゃんとおんなじ16歳になりました…来年もまた読みに来ますっ素敵な作品を本当にありがとうございます。 (2月9日 1時) (
レス) @page50 id: 4d2be51c25 (このIDを非表示/違反報告)
芽依 - ボロ泣きです、、最高です、後日談までもう泣けてくるんですが、、すれ違う兄妹の書き方が神ってますね、素敵な作品を読ませていただきありがとうございました、、！ (1月30日 10時) (レス) @page50 id: e9435a06b7 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - 涙止まりませんでした､､､出会えて良かったです､､､ (11月24日 13時) (レス) @page50 id: 477ea6ec3d (このIDを非表示/違反報告)
ピンス - 流石に泣きました。後日談も最高です。神作品ありがとうございます… (11月10日 23時) (レス) @page50 id: 18a9383861 (このIDを非表示/違反報告)
てんごく(プロフ) - めっちゃ泣きました。凄い良いお話です (10月5日 18時) (レス) @page50 id: e622d65d6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：だむい
| 作成日時：2020年7月26日 20時
