35話 ページ35
そのあと私は反吐を撒き散らすことなく不死川さんに勝利して山を登っていた。
「Aか、よく来た。疲れただろう…」
「育ったのは山だから、あんまり」
出身は普通に都会だけど、狭霧山の方が通って長いし。
タネも仕掛けもない山登りは正直楽チンだった。
「何か、Aの役に立てる鍛錬があれば良いのだが…」
体力、技術しか視野に入れてなかった私のミスだ。と大きな肩を下げる悲鳴嶼さんだけど、“柱稽古”ってだけでみんなメンタルに来てると思う。
「とりあえず、滝行してきます。」
「あぁ」
襦袢を着てボーッと滝を浴びた。
「Aか！！」
「喋ってたら首持っていかれるよ」
横にいる伊之助は、魂が戻ってきたように元気な声で私を見た。
「絶対お前だと思ったぜ！！」
滝から抜け出して私にちょっかいをかける伊之助、そもそも集中してなかったから私は別に良いけど腕取れるぞ。
「あのインウツな感じはお前しかいねぇぜ」
惣一郎が教えてくれたらしいインウツという単語。
「…私は陰鬱じゃない」
「じゃあなんて言うんだよ、このモヤモヤしたウゼェ感覚」
「…知らない」
うるさい、と私も滝を抜けた。忍耐力無さすぎるのがここで証明された。
「お前水柱んとこ行ってきたんだろ！一緒に飯食ったか？天ぷらはみんなで食うと旨いって紋逸が言ってたぜ」
「そんな仲じゃない」
「俺と健太郎と紋逸は一緒に食うぜ。」
「…そう」
「キョーダイなんだろ？」
「しつこい」
俺らだって一緒に食うのに、キョーダイの私たちが食事を共にしないことは伊之助にとって不思議らしい。
「なんで一人でいるんだよ、炭治郎とネズコはずっと一緒だぜ！」
「みんながみんなそうじゃないの…ッ！！」
振り向きながら声を張って叫んでしまった。
元々静かな場所に更なる静けさが襲った。
私が叫んだことに驚いたのか、伊之助はオロオロしているようだった。
「…な、なんで怒ってんだよ！！」
「ごめん」
「あ、おいどこ行く気だコラ…っ」
最終試練の岩を押してもう一人でいよう。
団体行動は嫌なの、伊之助の好奇心は嫌なの、説明したら虚しいだけじゃない
「………」
_
_
(なんだよ、なんで怒ってんのかわかんね)
(俺わかんねーし…)
(…もんじろう、早く来いよ)
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柊蓮(プロフ) - 毎年、誕生日に読んで号泣してます…大好きです。この作品も、同じ作者様の作品も。ついに夢主ちゃんとおんなじ16歳になりました…来年もまた読みに来ますっ素敵な作品を本当にありがとうございます。 (2月9日 1時) (
レス) @page50 id: 4d2be51c25 (このIDを非表示/違反報告)
芽依 - ボロ泣きです、、最高です、後日談までもう泣けてくるんですが、、すれ違う兄妹の書き方が神ってますね、素敵な作品を読ませていただきありがとうございました、、！ (1月30日 10時) (レス) @page50 id: e9435a06b7 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - 涙止まりませんでした､､､出会えて良かったです､､､ (11月24日 13時) (レス) @page50 id: 477ea6ec3d (このIDを非表示/違反報告)
ピンス - 流石に泣きました。後日談も最高です。神作品ありがとうございます… (11月10日 23時) (レス) @page50 id: 18a9383861 (このIDを非表示/違反報告)
てんごく(プロフ) - めっちゃ泣きました。凄い良いお話です (10月5日 18時) (レス) @page50 id: e622d65d6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：だむい
| 作成日時：2020年7月26日 20時
