16話 ページ16
「きゃー!もうやられちゃう!!」
「あぶな」
地面を強く蹴って甘露寺さんを押し退け攻撃は避けた。
「Aちゃんありがとぉぉ…!」
「いえ、」
少し時間をかけすぎたかも。
私に実力が無いあまりに甘露寺さんの負担が大きい、炭治郎達がきっと苦戦している。時透の安否も分からない。
「……苦戦」
兄さん、真菰や錆兎だったらこの程度の鬼に時間を取られることはなかっただろうか。
私は今、少し焦っている気がする。
「ごめんなさい、年上なのに頼りないわよね」
きっと生き残れるわ、と微笑む甘露寺さんはやっぱり蔦子姉さんみたい。
目を細めて眉を下げて、諭すような声と鬼の存在を忘れてしまいそうな優しい雰囲気で。
「私が甘露寺さんの足を引っ張っている」
お互い攻撃するからテンポが悪い、フォローに回るべきだかそんなことしたことないし方法も分からない。
「Aちゃんは思うように戦って。」
こんなに傷だらけなのに、きっと立ち上がることも困難だろうに。
笑顔を浮かべて私の前に立ってくれる。
「大丈夫、私が必ずフォローするわ」
なんて頼もしい人なんだろうか。
いつの日か、兄もそうして私を庇ってくれた気がするがする。
相手は犬だったけど。
「お願いします。水の呼吸…」
「えぇ。恋の呼吸、」
炭治郎や時透達への焦燥を、
時間をかけすぎた自分への叱責を、
良い加減死んでくれという鬼への願いで、
「捌ノ型 滝壷」
今までとは比べられない速さで動けた。
信じられないくらい体が軽くて、電流のような攻撃を軽くかわせた。
「あ、」
気付いたら首を斬っていた。
「す、すごいわAちゃん!ギュンッて!ビュンってしてたわ!!」
「甘露寺さんも、シャシャッてしてました」
自分の体じゃないみたいによく動いたのに、頭から指の先まで完璧に操作できていた。
「日の出ね!」
「…ありがとうございました。では私は次の任務地へ向かうので」
お疲れ様でした、と会釈をして速足に山を降りた。
「えぇっ!?休まなくちゃダメよ!」
そんな声が後ろで聞こえたけど、なんだか信じられないくらい体のコンディションが良いからまだ戦いたい。
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「炭治郎達は無事?」
「カァァァー!」
「そっか」
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柊蓮(プロフ) - 毎年、誕生日に読んで号泣してます…大好きです。この作品も、同じ作者様の作品も。ついに夢主ちゃんとおんなじ16歳になりました…来年もまた読みに来ますっ素敵な作品を本当にありがとうございます。 (2月9日 1時) (レス) @page50 id: 4d2be51c25 (このIDを非表示/違反報告)
芽依 - ボロ泣きです、、最高です、後日談までもう泣けてくるんですが、、すれ違う兄妹の書き方が神ってますね、素敵な作品を読ませていただきありがとうございました、、! (1月30日 10時) (レス) @page50 id: e9435a06b7 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - 涙止まりませんでした、、、出会えて良かったです、、、 (11月24日 13時) (レス) @page50 id: 477ea6ec3d (このIDを非表示/違反報告)
ピンス - 流石に泣きました。後日談も最高です。神作品ありがとうございます… (11月10日 23時) (レス) @page50 id: 18a9383861 (このIDを非表示/違反報告)
てんごく(プロフ) - めっちゃ泣きました。凄い良いお話です (10月5日 18時) (レス) @page50 id: e622d65d6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:だむい | 作成日時:2020年7月26日 20時