11話 ページ11
「義勇さんの匂いがしないから気づかなかった!言われてみれば似ているな!」
匂いなんてする訳ない、炭治郎や禰豆子みたいに一緒にいないから、離れた時間があまりに長いから。
「……」
ねぇ炭治郎、兄妹はね、一緒にいるから同じ時を多く過ごしているから同じにおいがするんだよ。
私たちはね、別々の道を歩いているから思考回路も匂いも違うよ。
「それに、俺の師匠や兄弟子の人が自分の命を懸けてまで禰豆子の無罪を主張してくれたおかげでなんとか…」
過去に、蝶屋敷で炭治郎が言っていたことを思い出して頭が痛くなった。
吐き気がした。
「A…?」
選別を終えた妹の安否確認にさえ来なかった、以降探しにも来てくれなかった、手紙だって一通もくれなかった。
忙しくて行けなかったという手紙も、私じゃなくて鱗滝さん宛て。
「……外行ってくる。」
兄に縋りたいと泣いていたのは私だけだったとやっと気づいた。
炭治郎に八つ当たりしそうになったから、あの場にいてはいけないと、兄への嫌悪感を原動力に行く場もなく外へ出た。
「うぐっ…」
「あ“?」
下を向いて小走りしていると、硬い何かにぶつかった、あぁもうついてない。
「お前…さっきの…、えっ泣いてる?えぇぇ、大丈夫かよ?」
「……」
キュッと唇を結んで、泣くまいと瞬きを我慢しているのにポロポロ涙が出てきた。
「ど、どうしたんだよ」
「誰あんた…」
「今かよ。俺は不死川玄弥、よろしくな」
「不死川…」
やっぱり不死川さんの弟なんだ、顔そっくり。
雰囲気も少しだけ。
「兄貴のこと知ってんのか?」
「柱合会議の前に会ったことある、あの睫毛長い人」
「おう。…その、元気だったか?兄貴」
「元気の判別できない。初見だし…」
不調だったのかもしれないし、体調が万全だったのかもしれない、彼の起伏を知らないからなんとも言えない。
「そー、だよな。悪い」
「別に悪いこと言ってないじゃん」
「…お前マジで話し辛ぇ…」
なんか腹立つわ、とくしゃくしゃっと自身の後頭部を掻いてため息を溢した。
「よく言われる。」
「だろーな」
玄弥は私にタオルをかけてくれた。
「その…話聞くから泣き止めよ」
「聞くだけなら具体的な解決に繋がらないからいい」
「可愛くねぇな!!」
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柊蓮(プロフ) - 毎年、誕生日に読んで号泣してます…大好きです。この作品も、同じ作者様の作品も。ついに夢主ちゃんとおんなじ16歳になりました…来年もまた読みに来ますっ素敵な作品を本当にありがとうございます。 (2月9日 1時) (レス) @page50 id: 4d2be51c25 (このIDを非表示/違反報告)
芽依 - ボロ泣きです、、最高です、後日談までもう泣けてくるんですが、、すれ違う兄妹の書き方が神ってますね、素敵な作品を読ませていただきありがとうございました、、! (1月30日 10時) (レス) @page50 id: e9435a06b7 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - 涙止まりませんでした、、、出会えて良かったです、、、 (11月24日 13時) (レス) @page50 id: 477ea6ec3d (このIDを非表示/違反報告)
ピンス - 流石に泣きました。後日談も最高です。神作品ありがとうございます… (11月10日 23時) (レス) @page50 id: 18a9383861 (このIDを非表示/違反報告)
てんごく(プロフ) - めっちゃ泣きました。凄い良いお話です (10月5日 18時) (レス) @page50 id: e622d65d6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:だむい | 作成日時:2020年7月26日 20時