41話 ページ41
目に攻撃を喰らった。
何も見えない中で、足音も呼吸の音も声もよく聞こえない玄弥と時透を探した。
「玄弥、は」
玄弥がいたはずのところに手を振り回した。
何度も空を切って玄弥を探した。
「玄弥は…消えた。鬼化が進行しすぎた。」
不死川さんの泣く声だけが聞こえてた。
玄弥の声も微かに聞こえたけど、よく分からなかった。
「とき…、時透どこ」
真っ暗闇の中を、地を這いつくばるように歩いている途中で何かにぶつかった、触れてみたらゴツゴツした豆だらけの大きすぎない手を掴んだ。
長い髪、肌がスベスベ、きっと時透。
「ときとお、起きて。」
横になっている彼の体を揺すった。
上下に動かない胸を揺すった。
「おきて…!」
返事がなくて、饒舌に文句も言ってこないのがどれだけ寂しいことか。
「A、二人はもういない」
「やだ、」
手探りで脇に手を入れて、扉があると思われる方向へ引っ張った。
引きずる時透があんまりに重たくて参った、視界に何も打ちらないから支柱に激突した。
「やだ…」
「A。」
悲鳴嶼さんがそっと私の手から時透離した。
私の手から重さが消えた。
「うっ…うぅ…、う”ーっ」
膝をついて、時透の胸に顔を埋めて泣いているからだろうか。唸るような泣き声が反響した。
鮎、もっと味わって食べておけば良かった。
誰かと食べる食事の方が美味しいって、食べていない今気づくなんておかしいよね。
話聞いてくれるって言ったじゃん。
ちゃんと話すから、ちゃんと言葉にするから…、ちゃんと、聞いて。
(ごめんねA、)
(ごめんなA、)
真っ暗な視界で、最期にその顔も見れない。
お互いをやっと理解し始めた途端、それは消えてしまった。
「う“ー…」
私が大切だと思った人は、すぐにいなくなる。
姉さんも、錆兎も真菰も、二人だって。
もしかしたら、兄さんだって。
「………、」
時透も、玄弥も、返事くれないし、
視界は真っ暗だし。
怖い、背後を取られそうな恐怖が心を蝕んで肩に力が入って時透の隊服をギュッと握った。
「っ…城が崩れる、A、来なさい…!」
城の倒壊に巻き込まれて良いと思った。
「………」
死にたいと思った。
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柊蓮(プロフ) - 毎年、誕生日に読んで号泣してます…大好きです。この作品も、同じ作者様の作品も。ついに夢主ちゃんとおんなじ16歳になりました…来年もまた読みに来ますっ素敵な作品を本当にありがとうございます。 (2月9日 1時) (レス) @page50 id: 4d2be51c25 (このIDを非表示/違反報告)
芽依 - ボロ泣きです、、最高です、後日談までもう泣けてくるんですが、、すれ違う兄妹の書き方が神ってますね、素敵な作品を読ませていただきありがとうございました、、! (1月30日 10時) (レス) @page50 id: e9435a06b7 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - 涙止まりませんでした、、、出会えて良かったです、、、 (11月24日 13時) (レス) @page50 id: 477ea6ec3d (このIDを非表示/違反報告)
ピンス - 流石に泣きました。後日談も最高です。神作品ありがとうございます… (11月10日 23時) (レス) @page50 id: 18a9383861 (このIDを非表示/違反報告)
てんごく(プロフ) - めっちゃ泣きました。凄い良いお話です (10月5日 18時) (レス) @page50 id: e622d65d6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:だむい | 作成日時:2020年7月26日 20時