39話 ページ39
「小芭内…、その傷…」
顔に掻き切られた様な傷を負っている小芭内の姿を目にして、空中で言葉を失った。
「自分の心配をしろ。お前は自己管理能力がとことん低い奴だな」
そう言われてみれば、私もそこそこボロボロだ。
「攻撃も痛みも感じないほど集中していたんだろう。…立派な事だ」
「うん、うん…」
エンジンかかるの遅くてごめん、せめてみんなで健やかに眠れる様に、心残りはない様に。
見守ってくれてる人たちに、頑張ったよ。と胸を張れる様に。
「夜明ケマデ、三十五分!!」
「鏑丸、小芭内を頼むよ。」
シャーッと返事をするような鏑丸に微笑んで、私を見れてはいないけれど、小芭内にもニィッと笑った。
「雷の呼吸__」
もう体が痛くてさ、本当泣きたい、おんぶしてほしい。
でも私をおんぶしてくれる仲間はまだ復活してないし、だけど生きてるから。
「あ“ぁぁああ”動け私の脚!!」
小芭内に庇われて一度休みを与えた脚は震えて力んで力が抜けて、
「霹靂一閃…、伍ノ型 熱界雷」
それでも、何度だって立ち上がるよ。
何度だって斬りかかるよ。
「うぐっ…」
「A…ッ」
攻撃を食らっても、それがどんなに痛くても、苦しくても。
「おいA!!」
「姉ちゃん!攻撃の度に霹靂一閃で間合いを詰めるってそんな攻撃繰り返してたら…」
姉ちゃんが、死んじゃう
善逸のそんな声がした。
なんとか吐き出した様な絶望の声。
「霹靂一閃、」
分かってる、死ぬの超怖い。
死ぬのが死ぬほど怖かった。
「でもどうせ後先少ない人生なら、相討ちになってやろうじゃないの」
痣も出たし、自分の年齢なんて分からないし。
投げやりに相討ちだなんて思ってない。劇的に死にたい訳でもない。
「…姉ちゃん、肺が、ヒューヒュー言ってる…」
「大丈夫」
善逸は私がいなくてももう、一人じゃないでしょ。
「善逸!Aさんの負担を少しでも減らす!!」
「Aが繋いだ時間は無駄にしねぇ!!」
友達がいるでしょ。
友達がいれば、大丈夫だよ。それは私が一番よく知ってる。
_
大丈夫だよ、
_
「やれるよ、善逸は」
「……」
「私の自慢の弟だもん。」
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人間 - 鬼滅の刃の夢小説はあまり見ないんですけど号泣するほど良かったです。めちゃくちゃ泣いたし笑いました。良い作品をありがとうございました。 (5月9日 7時) (レス) @page50 id: ccbbdf314a (このIDを非表示/違反報告)
*柑橘類*(プロフ) - 家の布団にうずくまってボロボロ泣きました。おまけで声出して笑いましたありがとうございます。 (5月5日 20時) (レス) @page50 id: 33ffb4296a (このIDを非表示/違反報告)
○○(プロフ) - とっっても感動しました(;_;)めっちゃ泣きました。ハッピーエンドでほんとに良かったですぅぅぅぅぅぅ՞߹ - ߹՞こんな神作品をありがとうございます! (2月7日 15時) (レス) @page50 id: 440a20ffd9 (このIDを非表示/違反報告)
バター - 死んじゃったからBADENDだと思ったけど大切な人守って転生させてHappyENDなの好き🥹💗💗 (11月4日 17時) (レス) @page50 id: 71e3afebe3 (このIDを非表示/違反報告)
錫也(プロフ) - 死んだ=バッドエンドとか悲しい展開のお話じゃなくて、家族愛で友人愛で大切なものを守ろうとして戦う姿かっこよすぎて泣きながら小説読んでましたぁ……まだ止まりそうにもないですありがとうございます…… (8月25日 9時) (レス) @page50 id: 046abef528 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:だむい | 作成日時:2020年5月16日 0時