35話 ページ35
『玄弥、撃っていいから』
『でもそれじゃあ時透さん…』
『構わなくていいから』
そんな時透の言葉に、俺は自分でもわかるくらい顔を顰めていた。
出血量から先が長くない事を悟った時透は、前線で上弦の壱の動きを止めようとしていやがる。
『瓔珞さんはどうすんだよ…』
『きっと怒ると思う。』
Aは優しいから、俺みたいな奴のことを怒ってくれる。って、
怒られるだろうと惟った奴の表情じゃなかった。
どこか愛おしいものを見たときのような、優しくて、切ない表情。
『せめて役に立って死ななきゃ』
言い訳も出来ないでしょ、なんてAを想うと、時透はどこまでも時透らしくなる。
『結局、なんの約束も守ってやれなかったし』
手を繋ぐことも、
ハイカラな格好をして、遠くの街へ出かける予定も、
俺が横で支えてあげるっていうのも、
漠然と約束した明日も、
『だったら別の方法で…！』
『俺に残された時間は少ないから、この方法しかない。』
何一つだって叶わないまま、
何一つだって伝えられないまま、
『俺が上弦の壱の動きを止めたら、』
「すごく、優しいよ無一郎君は」
『俺もろとも撃っていいからね』
「嬉しい…楽しみ」
最愛の人間を、最期に見ることできないまま。
『絶対に躊躇するなよ。』
「無一郎君！」
酒もまともに飲めねぇ子供が、これからの将来を描いた瞬間、それは呆気なく握り潰されて。
『兄貴…悲鳴嶼さん。俺がもっと強かったら…、俺が柱だったら！…すまねぇ時透さん、なんの恩返しも出来ねぇですまねぇ瓔珞さん…！！』
刀鍛冶の里でAに恩があるらしい不死川の弟は、歯を食いしばって、上弦の壱に銃を向けていた。
こいつらは、ここで、
分かりきってた事だ、俺だってその覚悟で入隊した、それは全員同じだろ。
『……不死川！！』
やめろ
『俺が…何とかしなくちゃ…』
これ以上、もうやめてくれ
『血鬼…術…』
頼むから
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_
_
「カァァァァーッ、死亡！時透無一郎、不死川玄弥死亡！上弦ノ壱ト格闘ノ末死亡ーッ！！」
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べにてゃ - ｽｩｰ好きです🫶 (4月29日 14時) (
レス) @page50 id: 3804c55305 (このIDを非表示/違反報告)
ありす - ほんとに情緒不安定っす…。泣きました、めっちゃよかった。こんな素敵な作品作ってくれてありがとうございます！ (2月28日 18時) (レス) id: d48b66107c (このIDを非表示/違反報告)
めんぼー(プロフ) - もうガチ好き。愛してるレベルで好き。神か？これは神なのか？ (11月18日 23時) (レス) @page50 id: a4d4cab34b (このIDを非表示/違反報告)
りず - ほんとすきこのしょうせつ。にやにやしすぎたわ…！もう最高！前世のの話してるシーンとかとくに！ (11月18日 22時) (レス) @page50 id: 804a1b86af (このIDを非表示/違反報告)
せりりん - ギャグ要素もありながらキュンキュンするし感動するし感情の起伏が激しすぎて肝臓がやられちゃいました(？) 完結おめでとうございます、そして素敵な作品をありがとうございました！ (7月18日 20時) (レス) @page50 id: 6563dca116 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：だむい
| 作成日時：2020年4月22日 23時
