14話 ページ14
「………はぁ…」
派手に粧し込んだのが失敗だった。と窓から顔を出してため息を吐いた。
っていうか夜に男の相手なんてしてられないんだけど、鬼の相手しなくちゃいけないんだからさ。
「A、お客だよ。失礼のない様にね」
早くない?まだ夕暮れだよ。
眉間のシワを伸ばして背筋を伸ばして頭を下げた。
「ようこそおいでくんなまし」
これだけ覚えとけばどうにかなるって先輩花魁に教えてもらった。
「噂通りの別嬪さんだ…、荻本屋は未来永劫だ」
「…………」
いやごめん相槌の打ち方よく分からないんだよ。助けて炭治郎。
「緊張してるのかな?」
「…えぇ、まぁ…少し」
飲み物を頼みましょう、と禿にお酒を頼んだ。私は飲まないから大丈夫。
「まだ遊郭に相応しくない故…」
そりゃあそうだよね昨日今日で仕事は疎か口の利き方も直さなきゃいけないんだからさ。
「大丈夫だよ」
ガッチガチに固められた髪に触れられる。
____ダンダンダンダンッッッッ
その瞬間、天井から物凄い音がした。
「なっ…ななな何事だ!?」
「確認してきますね」
しばし待たれよ。と私は襖を閉めた。窓から飛び出て屋根に登ると、予想通り天元兄様がいた。
「ふぅ、危ない所だったぜ」
「天井突き破れるかと思ったわ。」
邪魔の仕方が凄い、と私はため息を吐く。
ため息ばっかだわもう。
「大丈夫だから、兄様も仕事して。」
「妹がどこの誰かもわからないおっさんに身体触られて平気な顔してる兄がどこにいるんだよ!!」
「大丈夫だから。」
「大丈夫ってお前…」
「本当に。」
心配そうな兄様に、先輩に習った微笑みを見せて建物の中に戻った。
____
「何もありませんでした、風でしょうか…」
「そうかい、それじゃあ続きを_______」
ストン、と手刀でおじさんを気絶させ、布団に横にして、適当に着物をはだけさせた。
「ほーんとに大丈夫そうだな」
「だから、大丈夫だって。」
今度は個室の窓から顔を出した兄様に、得意げに歯を見せて笑って、飲み手がいなくなった日本酒を差し出した。
「さすがは俺の妹だ」
「まーね。」
それから定時まで、兄様と窓越しに喋っていた。
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霞(プロフ) - 感動しました、素敵な作品をありがとうございます!!!😭😭😭 (8月8日 22時) (レス) @page49 id: 72e740ca3a (このIDを非表示/違反報告)
きゅうり - 泣く!!!! (2022年3月28日 14時) (レス) id: bfccae0caf (このIDを非表示/違反報告)
ふぐひらめ - はあぁぁ、むい君のやっぱり可愛いってやつで私は成仏しました…… (2022年2月15日 21時) (レス) @page33 id: f76242864c (このIDを非表示/違反報告)
まっひー - 足抜きではなく、足抜けではないですか?間違ってたらごめんなさい! (2021年12月3日 20時) (レス) @page19 id: d24aae8d9d (このIDを非表示/違反報告)
毒猫 - うぅ・・・感動しました!また違う作品で! (2021年9月11日 22時) (レス) id: dc79ac4bfc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:だむい | 作成日時:2020年4月7日 22時