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33話 ページ33

外の監視は抜かりなかった。



じゃあ…中?








「建物中に通路がある…とか」



いや、鬼の音は分かりやすい…、ヒタヒタと濡れたような汚い足音がするから善逸ほど優れた耳がなくとも判別できる。







まさか、






嫌な汗が伝い、背中がひんやりした。





「まきをさん…ッ」



「コラA!走るんじゃないよ!!」





騒がしく階段を上りまきをさんの部屋を確認もなしに襖を開いた。









「っ………」




部屋は酷く荒らされていた。争った形跡だ。




そしてやはりまきをさんが、いない。









下弦の伍でも気配はすぐに察せた、目立っていた。








「…この場で喰われた形跡がない…、なら生きてる」



そう信じるしかない。









なんだこの鬼、なんだこの感じ。全く気配に気づかなかった…





蕨姫は、上弦だ。









「雛鶴さん須磨さん…ッ」




私は乱れた着物のまま裸足で外に出てときと屋に向かった。









「あら?あなたは…」




「須磨花魁は…!?」



禿の子の肩に手を置いて目線を合わせて聞いた。







「須磨花魁なら足抜けしたと楼主様達が仰っていましたよ…」



「須磨さん…」





視界が白くなった。



自分の呼吸音が異常に煩くて。









「雛鶴さん…、いや、」



生身で京極屋に向かったらダメだ、もう今やるしかない。兄様の支持はないが、待っていたら義姉さん達が生きている可能性が低くなる。









私は荻本に日輪刀を取りに戻った。





「A!待ちな!何勝手してんだいお前は!!」




「ちょ、ごめん今貴方の相手してる余裕ない」




今まで受け入れていた威圧に近い態度とキツく掴まれた肩の手を軽く払った。









「………はぁ…」




私の所為だ。



何のために潜入してたのさ、意味ないじゃんよ。








「痛ッ…」



部屋への道で、角を曲がると誰かにぶつかった。







すごく硬くて、鼻を押さえながら顔をあげた。







「いの…すけ」



「…………!」









「伊之助だよね?なんで?」


「……Aか!?」






周りに人がいないのを確認した伊之助は私の肩を掴んでユラユラ揺らす。









「おいお前なんか変だぞ!なんかあったのか?まず落ち着け!!」





ピリピリしてやがる、そう言われて私は伊之助の手を引いて自室へ入った。

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(プロフ) - 感動しました、素敵な作品をありがとうございます!!!😭😭😭 (8月8日 22時) (レス) @page49 id: 72e740ca3a (このIDを非表示/違反報告)
きゅうり - 泣く!!!! (2022年3月28日 14時) (レス) id: bfccae0caf (このIDを非表示/違反報告)
ふぐひらめ - はあぁぁ、むい君のやっぱり可愛いってやつで私は成仏しました…… (2022年2月15日 21時) (レス) @page33 id: f76242864c (このIDを非表示/違反報告)
まっひー - 足抜きではなく、足抜けではないですか?間違ってたらごめんなさい! (2021年12月3日 20時) (レス) @page19 id: d24aae8d9d (このIDを非表示/違反報告)
毒猫 - うぅ・・・感動しました!また違う作品で! (2021年9月11日 22時) (レス) id: dc79ac4bfc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:だむい | 作成日時:2020年4月7日 22時

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