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10話 ページ10

「…………」


「失神しましたか?」

「かろうじて意識あります…」





人生初のハンググライダー。


それも一人用のに二人で乗るっていう決死の逃亡劇。







「暴れたらぺしゃんこですよ」


「縁起でもないこと言わないで…」






キッドはケラケラと笑いながら少し離れたビルの屋上へ着地するなり、私の手に何かを握らせた。






「この宝石はもう必要無くなりました。お返しします」




二億円の石!!





「待って待って、」



彼のかぶる大きなハット帽を右手でヒョイっと持ち上げた。







「顔くらい見せたらっ……えっ…」



まだ少し幼さの残る綺麗な顔に、驚きが隠せない。






「好奇心旺盛な女性だ」




帽子を奪おうとする彼の手をかわして、少し距離を置いた。







目の前にいる男の子は、園子ちゃんや蘭ちゃんくらい…かな。





「キッドってずっと昔から居るから、おじいさんかと思ってた。」


「手品で若返ってるだけかもーーー…なんて」


「何その手品習得したい」






怪盗キッドは、相変わらず表情を崩さず、姿勢正しく立っていた。



一方私は、屋上のフェンスに寄り掛かって帽子をいじっていた。






「大丈夫だよ、貴方が若い男だったなんて公言しないから。」


「なぜ?」


「うーん、ファンだから?」




実はテレビの中継楽しみだったりするんだよね。








「信じられないなら、それは…貴方の失態と言うことで。」


「いいえ、信じています」




思いついたようにキッドは顔を上げた。



大きくてまん丸な月が、彼の背景にはとても似合っている。






「このキスに誓って」



吹き付ける風が急に止んだと思ったら、キッドが左頬にキスをしていて。






「マセてるのね」


「あまりに美しいもので」






つい。なんてクスクス笑いながら、私から帽子を取り上げて、それを少し深く被った。







「また星空の中をエスコートさせてください」


「結構です。」







_







_







(めっさ美人だったーあの人……)



(お目当ての宝石じゃなかったけど眼福だぜ〜!)

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彩豊(プロフ) - 控えめに言って凄く面白いです!まだ登場してないキャラの(もちろん登場済みのキャラも)活躍を楽しみにしています(*^^*)続きを心から待ってます! (2022年10月10日 14時) (レス) @page48 id: 72022c3b56 (このIDを非表示/違反報告)
未悠(プロフ) - 本当だむいさんが作る作品全部好きです。 (2022年6月18日 17時) (レス) id: abbd0293bd (このIDを非表示/違反報告)
ぱんぴー(プロフ) - これ、リメイクしていってるんでしょうか? (2021年5月20日 2時) (レス) id: ddd3529158 (このIDを非表示/違反報告)
さつむいこん(プロフ) - コナン無知の為Googleと首っ引きで読ませて頂きました(6割ニュアンスで読んでます、すいません) ちょうど「むしろ清々しい」読み返してた所だったので運命感じました…。もうずっと推します、占ツク1の推し作者様なんですっ!!無理のない範囲で更新頑張ってください。 (2021年5月3日 6時) (レス) id: 423a130570 (このIDを非表示/違反報告)
白亜(プロフ) - パラグライダーではなくハンググライダーでは無いでしょうか〜 (2020年4月12日 21時) (レス) id: 6d6e512c02 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:だむい | 作成日時:2018年4月15日 21時

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