49話 ページ49
この銃撃戦、本当にここは日本かと疑うような状況。
「はっ、」
プルル、なんて無機質な音。
吉田歩美と記載されたスマホを耳に当てた。
「もしもし」
声を最小限に抑えた、恐怖で声が出なかったと言った方が正しいかな。
『Aお姉さん…!』
「歩美ちゃん?」
『僕たち、観覧車にいて!ごめんなさいAさんもいるって…ウワァッ』
『光彦大丈夫かよ!?』
多分、位置情報アプリかな。今どきだよね、友達同士ならお互いがどこにいるかなんかすぐにわかるし。
「………」
「A姉ちゃん、歩美?何があったの!?」
今、ここで向かったら私の横にいる男はきっと。
きっと、
「歩美ちゃん、どっちの観覧車に乗った?」
あぁ情けない。
子供が助けを求めているのに。
『人が全然いない方…!』
あぁ、警察が封鎖してたのを園子ちゃんの友人だから勘違いして乗せちゃったのかな。
「待ってて、フッ軽なお姉さんがすぐに行く」
電話越しにふふっと笑うと、コナンくんが私の袖を掴んだ。
「A姉ちゃん!」
この子の目は真っ直ぐで。
危ないよ、とか、安室さんとせっかく会えたのに、とか。色々声が聞こえてくるような。
「奴らがシルエットでターゲットを予測しているなら、女性である以上君は特に危うい。動かない方が身のためだ。」
平然と銃を持っているこの赤井秀一って人も、
「A姉ちゃん、本当に危ないなら」
どこか子供じゃないような江戸川コナンくんも、
「………」
ポアロで働くただの私立探偵って名乗る安室透も、
全部全部、心の中で何か違和感が働いて、気になるけど。
それでも、自分にそれを知る権利があるのかとか、知ったら大変なことになるんじゃないかとか。
保身的な感情の方が先走る。
もうすでに、ろくでもないことになってんだけどさ。
「怖いときは、そばにいてほしいでしょう」
例え何もできなくても、頼りなくても。
私だって、そうだったように。
「…守ってくれるんでしょう」
「あぁ、反対側の観覧車でも、向こうの噴水でも、好きなところに行くといいさ。」
_
大丈夫だから
_
(Aお姉さん…!)
(Aの姉ちゃん!!)
(Aさん!)
(無事で良かった…)
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彩豊(プロフ) - 控えめに言って凄く面白いです!まだ登場してないキャラの(もちろん登場済みのキャラも)活躍を楽しみにしています(*^^*)続きを心から待ってます! (2022年10月10日 14時) (レス) @page48 id: 72022c3b56 (このIDを非表示/違反報告)
未悠(プロフ) - 本当だむいさんが作る作品全部好きです。 (2022年6月18日 17時) (レス) id: abbd0293bd (このIDを非表示/違反報告)
ぱんぴー(プロフ) - これ、リメイクしていってるんでしょうか? (2021年5月20日 2時) (レス) id: ddd3529158 (このIDを非表示/違反報告)
さつむいこん(プロフ) - コナン無知の為Googleと首っ引きで読ませて頂きました(6割ニュアンスで読んでます、すいません) ちょうど「むしろ清々しい」読み返してた所だったので運命感じました…。もうずっと推します、占ツク1の推し作者様なんですっ!!無理のない範囲で更新頑張ってください。 (2021年5月3日 6時) (レス) id: 423a130570 (このIDを非表示/違反報告)
白亜(プロフ) - パラグライダーではなくハンググライダーでは無いでしょうか〜 (2020年4月12日 21時) (レス) id: 6d6e512c02 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:だむい | 作成日時:2018年4月15日 21時