douceur*90 ページ40
「せ、繊細……」
「まだゴツゴツだけどな」
私の病室の外には、氷でできた階段があった。
結構ゴッツゴツで足場が悪いけど、登るには十分すぎる。
「個性の使い方上手だ！」
焦凍は先に階段の上に立っていて、仕方ない。というように溜息を吐いた。
「…行くぞお姫様」
「お、おぉぉ…！」
こんなイケメンにお姫様と言われる日が来るとは…！
「エスコートしてやる」
滑るからな。と差し出された手をしっかり掴んで窓から出た。
「ありがとね、王子様」
「…ほんと、お前には困らされてばっかりだよ」
「えー、そんなにー？ふふっ、ごめんごめん」
にこにこ笑いながら、階段を降りていると、お決まりだった。
「やっ！！」
やばいっ…と思っても足先は夜空に向けられていた。
「…ほら、困らせ姫」
ぎゅっと私を抱きしめる形で支える焦凍は、冗談なしで本当に王子様見たい。
「ご、ごめん…」
「少女漫画を詰め込んだような奴だな」
「少女漫画の理想の王子様だね〜、焦凍は」
私は、そんなに自分に鈍くないけど。
とっくに好きって気付いてるけど。
「ほら、また滑るぞ」
「そしたらまた助けてくれるでしょ？」
「っ〜〜！……ばか、転ぶなよ…。」
「なんか随分素直じゃないね？」
「夜風のせいだよ」
本当、今日の焦凍は素直じゃない。
少し言葉にトゲを付けようとするけど、優しさが滲み過ぎている。
本当…優しいんだなぁ…。
「何処か、星の綺麗な場所へ行きたいね」
「…世界遺産巡りしたいんだろ。世界中探したら星が綺麗な場所の一つや二つあるだろ」
「あ、それ前に言ったやつ」
覚えててくれてたんだ。
修学旅行の寝付けない夜に、お互い無意識に言っていたこと。
「ふふっ、最初はどこ行く！？」
「そうだな……」
うーん、と考えるそぶりをしている焦凍は、階段を下り終え地面に足をつけた。
「お前と一緒なら、どこでも良い。」
本当、敵わないなぁ…。
「焦凍！！」
「なん…うわっ！」
階段、ラスト一段を飛んで、振り向いた焦凍の胸に飛び込んだ。
「…危ねぇだろ…」
「支えてくれるって信じてた」
もう少し、貴方の体温を感じていたい。
「随分可愛いこと言うな」
「夜風のせいだよ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 520人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
*つむり* - どうも、いつも作品読ませてもらっています！すみません！！あの……、こちらの小説はもう続けないのでしょうか？我が儘言ってすみません、随分前の作品なのに……。もしお時間よろしければ、更新して頂けないかなぁ、、と。迷惑でしたら大丈夫です！！すみません！ (2020年8月6日 2時) (
レス) id: cfe611b1b0 (このIDを非表示/違反報告)
だむい - 永さん» します！長らくお待たせしてしまいすみませんでした！ (2018年7月30日 22時) (レス) id: 320f3f2ed0 (このIDを非表示/違反報告)
だむい - ミッキーさん» コメントありがとうございます！5回…！！それは嬉しいです！作者も将来を誓い合える相手は欲しいです←←、今後も結構直球な恋愛が待ってると思いますので、よろしくお願いします！ (2018年4月20日 18時) (レス) id: 320f3f2ed0 (このIDを非表示/違反報告)
ミッキー(プロフ) - はじめまして！いつも楽しく拝見させてもらってます！この後小説の轟くんが好きすぎて、すでに５回は最初から読み直しました(^^)朝、学校に行く前に更新された分を読んだんですけど、まだ付き合ってもないけど将来を自然と誓いあえる2人にキュンキュンしました(〃ω〃) (2018年4月19日 6時) (レス) id: a506a480d7 (このIDを非表示/違反報告)
きよりん(プロフ) - だむいさん» 末っ子め‥！！ 轟くんは食べられる前に攻撃しそうですねえ‥。 (2018年3月12日 21時) (レス) id: 5f1549994e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：だむい
| 作成日時：2018年1月15日 1時
