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かれこれ、2ヶ月半ほど、
恋に落ちたり、
死にかけたり、
結婚を迫られたりと、
色々引っくるめて、
神様にお仕えしてきた訳だが。
そんな日常は、早くも終わりを迎えようとしていた。
『……おそ松様、』
「断る。」
『……私、まだ何も言ってませんけど。』
「嫌だ。」
.
夏休みの終結。
即ち、
私は再び大学に通わなければならない。
“神社の巫女”という仕事とは、
暫しの別れである。
『本当に、ちょっと神社を空けるだけですから。
…ね?
良い子でお留守番してて下さいよ。』
「嫌だ。」
『…あ"ー、…もう……。』
やっぱり、言わなきゃ良かった…。
早くも後悔に苛まれる。
すっかり忘れてた。
この人、かなりの寂しがり屋だった。
『……良いですか、おそ松様。
私は、これでもまだ“学生”なんです。
学校に行って、勉強して、単位を取らないといけないんです。
もしこのまま学校に行かなかったら、
私、留年しちゃいます。卒業出来なくなっちゃいます。』
「……別にそれで良い。
お前はずっと此処に居ろ。」
ちょ、恐ろしい事言わないでよ。
『……お願いですおそ松様。』
「ふざけんな。
俺以外の奴との馴れ合いなんて
許せる訳ねぇだろ。」
首元に歯を立てられ、甘噛みをされる。
『……週に1回くらいは、神社に顔出しますから。
ね、おそ松様…。』
「…やだ、それじゃ足りない…。」
絞り出したような、か細い声。
肋骨が折れそうなくらい強く抱きしめられる。
「……っA、」
彼の可哀想な姿に、
キュッとする心臓。
って、いかんいかん。
その場の感情に流されちゃ駄目だ。
流石に“留年”はシャレにならない。
それに、いつまでもこの人を
甘やかす訳にもいかない。
たまには、"我慢"というものを覚えさせないと。
是非とも、ここは堅実な判断を………、
『……もう、仕方ないですねぇ……。』
【結論】無理だった。
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緑の白猫 - rフラグの限界を試す語彙力。 (2021年4月19日 20時) (レス) id: 41276e8159 (このIDを非表示/違反報告)
りだ兄(プロフ) - 兄様、最高すぎです。 (2019年9月13日 23時) (レス) id: b7a49e66ce (このIDを非表示/違反報告)
Rit(プロフ) - あまもさん» にゃー。 (2019年9月13日 22時) (レス) id: ad53a4c674 (このIDを非表示/違反報告)
あまも(プロフ) - 猫ktkr (2019年9月13日 21時) (レス) id: 6a329060ea (このIDを非表示/違反報告)
ただの通行人(プロフ) - 結婚式か。良き良き……是非呼んで下さいな。 (2019年9月5日 21時) (レス) id: 535205595b (このIDを非表示/違反報告)
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