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「誰だよ、お前」
流石にちょっと傷つくなぁ…
『誰って言われてもAだけど』
「彼奴は人に危害を加えるような奴じゃねぇ」
恵くんの中で私はまだ綺麗なままらしい。
小学生の時から酷いことばかりし続けてきたのに。
恵くんって意外と馬鹿なんだね。
恵くんには勝てっこないや。
私には勿体ないぐらい綺麗な心を持ってるから。
綺麗な君と汚い私じゃ似合わない。
意外とショックではなくて納得がいった。
きっと心のどこかで最初からわかってたんだと思う
『昔話でもしよっか』
もしかしたら恵くんは気づいていたかもしれないけど、私は父から暴力を受けてた。
父にはもちろん、クラスメイトにも幻滅していく日々だった。
そんな人生なんてうんざりで死ぬ事も考えた。
でもこんな奴らを理由に死ぬのは納得いかない。
だから、いつか終止符が打たれると信じて生きた。
そんな時、恵くんが現れた。
恵くんは私の人生のヒーローだよ。
君はヒーローなんて言葉好きじゃないかもしれないけど。
君と顔を合わせるのが、言葉を交わすのが、遊ぶのが何よりも楽しくて幸せだった。
でも君は、私を見てくれることは無かったからきっとそんなに好きじゃなかったんでしょ。
そんな気遣い要らなかったのに。
遠慮なしに嫌なことは嫌って言うくせにこういう時だけ遠慮して。
『恵くんならもう言いたいことわかるでしょ？』
もしかしたらという希望を持って、今日の事件を仕掛けたけど効果はゼロ。
私のやり方じゃ恵くんは振り向かない。
私は諦めるために今日ここに来た。
嫌われたという事実が突きつけられる。
怖くて泣きそうだった。
父親が死んだ時すら泣かなかったのに。
泣くのは引っ越す時以来だ。
恵くんのことになると涙腺緩くなっちゃうなぁ。
『さ、返事を聞かせて。』
恵くんは俯いたままだ。
今、どういう感情を抱いているの。
ただただ憎たらしいかな。悲しいかな。
後者だったら嬉しいな、なんて私はまた甘えてしまう。
恵くんが口を開く。
嗚呼、悲しいな。
「好きだ。ずっと前から」
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作者名：みかん | 作成日時：2020年12月30日 17時
