6 ページ7
「虎杖と釘崎に何をしたッ」
『大丈夫、気絶させただけだよ』
「そんなのどこで身につけた」
“そんなの”というのは気配のことを言っているんだろう。
『何もしてないよ。気づいたら自然と消せるようになってた』
「並の人間ができることじゃない」
『そりゃそうだよ。私、普通の人間じゃないし…
“闇より出でて闇より黒く その穢れを禊ぎ祓え”』
私は左の親指、人差し指、中指を立て帳を降ろした。
帳の中には、私と恵くんしかいない。
倒れている恵くんの友達は入らないように帳を降ろした。
この公園は、学校の校庭ぐらいには広いから通行人や家から見られる可能性が高い。
「帳⁈…呪力を持ってるのか?」
『そうみたい』
「帳まで降ろして何する気だ。因みに言っとくが、呪術師同士の私闘は禁止されてる」
『そうだね。でも私、呪術師じゃなくて……呪詛師だよ』
“
「何?!…ッ鵺!!」
『私の術式は、呪自操在。そこら辺に湧いてる呪霊の理性を奪って、自由に操ることができる。自分の呪力に変換する事もできる』
私が呪自操在と発せば、地鳴りが響き、地にヒビが入って出てきたのは呪霊だった。
『こういう使い方はしたことなくて、結構頑張ったんだよ?』
この街中の低級呪霊を
私が呪力を少しでも抜けば、呪霊は自由になって地中から出ようとする。
だから微力ながらも一定の呪力を保たなければならない。
恵くんが来るまで1週間、かなりの呪力を使った。
それに今日は恵くん達に気づかれないように、呪霊の呪力を消すのにも、私は呪力を消耗した。
「呪霊操術か?!」
『そのなり損ないみたいなものだよ。私のは、そんな都合よくできてない』
呪霊そのものを取り込むことはできないし、自分の呪力に変換してしまえば元の呪霊に戻すことはできない。
呪霊を操るのにも、呪霊の主導権は私が握っているから私の呪力が消費する。
呪霊も永遠に操っていられるわけじゃない。
呪力を使いすぎると鼻血や吐血、呪霊は自由になる。
放たれた呪霊は私の敵になるというわけだ。
『ねぇ恵くん。昔みたいに遊ぼう?』
恵くんに指をさせば、呪霊は一斉に恵くんを襲った。
恵くんに悪い事をすれば、恵くんは私を見てくれる。
殺しはしない。半殺し手前までいくかもしれないけど。
早く私を、恵くんの視界に入れて…?
8人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みかん | 作成日時:2020年12月30日 17時