魔王は限界オタク

初配信 another story ページ8

side ras








やばいやばい、推しを待たせてる！！


外出なんて滅多にしないのに今日だけ何故か予定がみっちみちに詰まっていた。それでも顔合わせ予定の1時間前には帰れるはずだったのに....


家に着いて爆速で手洗いうがい、できる限り体を清めてPCの前に座る

discordを開いて

いちかだってAPEXできるもん！の関係者サーバーに行くといちかがもう『配信中』のボイスチャットに。


すみません、先に1人で始めているので準備出来たら入って来て下さい！


というメッセージがテキストチャンネルにあった



推しと通話なんて一生かかっても準備なんてできないが！？！？

いやそれでも待たせているんだ、ここでマウスの左をクリックするだけ、それだけでいちかと話せる、


....いやそんな上手い話あるか？



....



いやいや！そういう企画なんだから！！


よし行くぞ！！！！！



ﾋﾟﾛﾝ



｢あ、来た！｣


｢Rasさーん！｣



R｢っ！｣


いちかだ、いちか、いちかが名前.....！！


なんか言わなきゃ

なんか言わなきゃ


えっと.....


R｢ぁ....はじめまして....｣



絞り出した声は情けない程小さくて、嫌われたかもしれない、どうしよう、、頭がぐるぐるぐるぐるする.....



｢はじめまして〜！｣

｢あ、えーっと....ちょうむ、ぺっけすむにだ。いちか、いむにだ！まんなそ、ぱんがーぅよ！｣

はじめまして、いちかです！
これからよろしくお願いします！


聞こえてきたのは卑下の言葉でも幻滅の言葉でもなく可愛らしい韓国語だった。


可愛すぎる....これが俺の母国語？世界文化遺産にしよう、今すぐ。

いや可愛すぎないか俺の推し。その韓国語の挨拶は俺の為だけのもの？


可愛さと尊さとが混ざってごちゃごちゃになって言葉が出ない

代わりに涙が溢れてくる。


何か言わなきゃ

何か言わなきゃ


R｢....っぅ....(泣)｣



R｢いちか....そんざい......(泣)｣



違う間違えたそんなこと言うんじゃ....


｢え？え？？？｣


｢え！あの、いちかの韓国語何か失礼でしたか？｣

天使か？いや天使だった。天使だ。


R｢てんし......(泣)｣


もう訳が分からない。
とにかくファンであることを伝えたかった。


溢れる涙を拭っているとだるまさんの声が聞こえた気がする



そこからはもうあまり覚えていない、




スパチャは投げた気がする。








気が付いたらAPEXのロビーに居た。

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